自分にはどうやら物質的な欲が少ないみたいだ、ということに気づくには時間がかかります。欲しいかどうかはさておき、いつか欲しくなった時のために得られるようにしておくに越したことはないと考える人が多いのでね。ましてや子どもとなれば、物質的な欲というものがわからなかったりします。精神的な欲と区別がつかない。モノが欲しかったんじゃなくて気にして欲しかった。わたしもこの物語の主人公のように、そこでよく混乱していたな。今もそうじゃないかと思うことがたまにあります。 少し、わたしが子どもの頃の話をします。「東京ディズニーランド」の設立と「おしん」の放映が同じ1983年。まだ小学生で自分の価値観など見当もつかな…
ひとの日記が好きなので…尾崎世界観『苦汁200%ストロング』(2021年文春文庫/単行本は2018年文藝春秋)2024.3.21読了『苦汁100%』(2017)は昨夏、『母影』(2021)は先月読了 [dazzling] picture from Flickr, Thank you 尾崎世界観さんの“日々を記録しようとした記録”(2017年2月〜9月の日記)文庫版には書き下ろし「芥川賞候補ウッキウ記」(2020年12月〜2021年1月の日記)も収録 1984年生まれ本名は祐介ロックバンド「クリープハイプ」のフロントマン お顔は以前テレビ番組「セブンルール」で見たことがある 一文字一文字を読み飛…
1日読書 島抜け 吉村昭 (新潮文庫) 1p〜21p 紙魚の手帳 Vol.11 (東京創元社) 215p〜278p 2日購入 母影 尾崎世界観 (新潮文庫) オーバーヒート 千葉雅也 (新潮文庫) 読書 チンギス紀 九 日輪 北方謙三 (集英社) 284p〜読了 本屋で立ち読み 島抜け 吉村昭 (新潮文庫) 22p〜49p 紙魚の手帳 Vol.11 (東京創元社) 279p〜287p 1947 長浦京 (光文社) 308p〜319p 3日購入 乱歩殺人事件―「悪霊」ふたたび 芦辺拓 (角川書店) 読書 島抜け 吉村昭 (新潮文庫) 50p〜91p 乱歩殺人事件―「悪霊」ふたたび 芦辺拓 (角川…
こんにちは♪ そのⅠで、わたしの推し遍歴などを語りまして(笑) ひいた方もおられるかも・・・😁 ueconokurashi.hatenablog.com 先日、引き続き尾崎世界観さんの本を読みました。 前回は「母影」という作品。 今回は「犬も食わない」という尾崎さんと千早茜さんの共作本を手に取りました。 どんなに一緒にいても、こんなにも分かり合えないのはなぜだろう。 「だめな男」と「めんどくさい女」。 同棲中の恋人同士の本音を、男女それぞれの視点で描く、共作恋愛小説。 読む前にあらすじ等を確認しないので、読んだあとで帯を見て「あぁ恋愛小説だったんだ」と気づきました。 尾崎さんのパートは、やはり…
こんにちは♪ 仕事を退職してから推し活が楽しくて仕方ありません。 仕事をしていた時は、忙しくて推し活を堪能する時間がありませんでした。 会社の携帯電話を持たされており、スタッフが働いている時間はたとえ私が休みでも対応が必要という仕事でした。 何故か、毎日いろんな問題が起こっていました(笑) テレビや配信を見る時間がほぼ無い生活でしたね~。 野球も好きなので、そちらは球場に行ったり、ファンクラブに入ったりと優先的に楽しんでいました⚾(もちろん携帯電話持参ですが) コロナ禍になり、球場に行けなくなったこともありファンクラブを止めました。 母に移してはいけないし、わたし自身も絶対に罹患したくなかった…
2008年11月20日発行 宗矩は真田幸村に、午前試合の勝者への拝領太刀が忍者に切先3寸が両断されたことを告げた。幸村は、かつて半蔵から剣相鑑定の依頼を受け、村正の作と断定したが、実は詐ったことを打ち明けた。宗矩から見せられた太刀は、正真正銘、村正と断定した。江戸城に忍び込んだ赤猿佐助が百助を正気に返すと、百助を追いかけてきた庭番が踏み込んできたため身を隠した。宗矩の前で、幸村は、九振の無銘太刀は備中青江守次の長子恒次の作と鑑定した。青江刀には平氏の隠し財宝を埋めた場所を示す迷語が焼刃に認められた。刃を中にして開いて読めば、「車・中・候」の三文字が浮び出ており、その謎解きを幸村は試みた。母影は…
2008年11月20日発行 「影」が三条河原で処刑されそうになった際、服部半蔵は「影」が遁れるのを手助けした。 この時、「影」は半蔵に、必要な秋があれば木曽谷を訪ねてくれば、いかなる依頼も引き受けると誓言した。それから15年後、半蔵は「影」が隠れる木曽谷を訪ねた。本多正純が服部半蔵を召して、秀れた忍者を使わせ同類の「風盗」を討たしめようとしていた。半蔵は15年前の誓言を思い出しこの命令を受諾した。半蔵は「若い影」(子影)をつれて木曽谷を出た。半蔵が子影の肩に片手を置いた。女子だった。子影が老いたる「影」の下に戻った。子影の体から漂い出る微かな匂いから半蔵に犯されたと推察した。この物語はそれから…
「母影」と書いて”おもかげ”と読みます。 ロックバンド「クリープハイプ」のヴォーカル&ギターの尾崎世界観さんの4年半ぶり、初の純文学作品。第164回 芥川賞候補作です。 母影(おもかげ)感想 小学生の女の子の目線で物語は進んでいきます。 シングルマザーであるお母さんの仕事場にしか居場所がない女の子。でも、彼女はその孤独を受け入れています。 お母さん・私・その他登場人物の「人物像」にさほど迫ることなく、なんだかぼんやりしているのですが、それは表題”おもかげ”たる所以なのかな... と思ったりしました。 女の子は「まだ書けない漢字も読むことができる」この表現がとても秀逸...というか、物語を物語っ…
抜群に面白い日本詩史の本があったので、読書メモ代わりに紹介しようと思う。 www.amazon.co.jp 亀井俊介『日本近代詩の成立』南雲堂、2016年 亀井俊介(1932-2023年)は『アメリカン・ヒーローの系譜』や『対訳 ディキンソン詩集』などで知られる、比較文学・アメリカ文学研究者だ。今回取り上げる『日本近代史の成立』は、彼が本業の傍らで書いていた日本近代詩を扱う論考(最古の初出は1957年)をまとめ、大幅に加筆修正を加えたものになる。 84歳という高齢で上梓された本文530ページもある厚い本だが、明晰かつ信頼できる内容で、するする読めて面白い。語り口・文体のちょうどよさ、テクスト読…
島田謹二『翻譯文學』(至文堂 1951年) 「日本文學教養講座」というシリーズのうちの一冊。このシリーズでは、ほかに『神話傳説説話文學』というのを持っています。島田謹二の本はいろいろ持っていますが、読んだのは『ポーとボードレール』だけ。文章が論文調でなく、語りかけるような調子なので、とても読みやすい。講義を聞いているような感じです。 まず大きく目についたのは、開国後の日本が西洋の文化を取り入れようと志して、それを徐々に身につけてやがて独り立ちしようかというところまでを、大局的に時系列に追っていることです。明治34年生まれで、同時代を生きた人ならではの感想が色濃く表われています。現代のわれわれは…
作品名 母影 作者 尾崎世界観 総合点 71点 容姿 不明 年齢 不明 職業 マッサージ師の母 性格 遅れている 大きさ 不明 合意 サービス タイプ 手 回数 複数回 対象 おじさん、先生 勝ちヌケル度 0 書評 隣に小学生のわたしがいるのに、おじさんはお母さんに言っていいと聞くけど、何も言わない 母影(おもかげ)作者:尾崎 世界観新潮社Amazon兄弟サイト:自分で超えろ!映画で勝ち抜ける生活
その高校で、K大学に合格したのは私と村中だけだった。嬉しくはない結果だった。教室の真ん中で、先生にバレないメイク方法とか、男と付き合ったり別れたりすることばかり話している人間と相容れないことなんて、はっきりわかっていた。何より村中はバレー部だった。どうせなら仲良くできそうな人と進学先が同じだったら、大学でひとりぼっちになることを最初から避けられてよかったのに。 放課後、村中が話しかけてきたとき、ああ大学の話かと思った。だからチケットを2枚差し出されたときは拍子抜けした。 「これ、一緒に行ってくれない?」 ピアノのコンサートのチケットだった。そんなものに村中が興味があるのも意外だった。 「え、な…
読んだ本をタイトルにしてはいるものの、書評とも感想ともなんともとれない内容を書いてきてますし、たぶん今回もそうです…。
クリープハイプ・尾崎世界観の芥川賞候補作『母影』の文庫版が2023年7月28日に刊行される。 今回の文庫化では、尾崎の強い希望で、芥川賞作家でもある又吉直樹(ピース)に解説をオファー。依頼を受けた又吉は、『母影』に全身で向き合い、熱のこもった約7000字の大作解説を寄稿した。 尾崎世界観の芥川賞候補作『母影』が文庫化、ピース又吉が約7000字の解説を寄稿 (msn.com)
結末を読まないという制約のなかで記事を書き続けている。そのような状況は何かを意味するかもしれないし、何も意味しないかもしれない。しかしたぶん何かは意味しているはずだ。さて、気分が乗ってきたところで引き続き【第二部】のご紹介です♪ 《第二部の途中(44章)までのあらすじ》 私は中年と呼ばれる年齢にさしかかっていた。今の生活に疑問を感じた私は上司に辞職願を出した。職を辞して二ヵ月ばかりたったある夜、名も知らぬ地方都市の図書館で働いている夢を見る。私はその夢を叶えるべく、福島の小さな町の図書館の館長に就任した。 『影を失ってしまった人間』 「わたくしは影を持たぬ人間なのです」「影を持たない?」、私は…
こんにちは。 尾崎世界観さん「母影」 母影 作者:尾崎世界観 新潮社 Amazon 私の少ない知識から、尾崎世界観さんという方が音楽の仕事をしていることと、芥川賞の候補になった小説を書いたということは知っていた。 図書館で見かけて、手に取ってみた。 薄い本。字も小さくないので借りてみた。 内容はなかなかディープだった。 女の子の目線で描かれた母親。 母親の仕事と生活。 子どもであっても、目に見えるもの以外にも感じ取るものがたくさんあって、暗い世界を体感している。 薄い本だが、言いたいことが詰まっているように思う。 この女の子は、どんな大人になっていくのだろうかと思った。 読んでいただき、ありが…