隣邦留学生教育の回顧と将来 松本亀次郎 岩波書店発行の雑誌「教育」四月号特輯に「興亜の教育の問題」に関し老生にも「日本語教授の体験談」を主とし曾て「東亜学校を創設した動機」並に「今日以後の興亜教育に対する意見」等に就き何か書けとの御手紙と本年一月発行の「特輯 新東亜教育」一部を寄せられた。披いて拝見すると当代御歴々の方々が各方面の角度から眺めた切々の至言を満載されてある。最早老措大などの出べき幕ではないが、隣邦の留学生教育には明治三十六年以後今日迄三十七年間の歳月を打込み、日本語の教授と著述には全精力を注ぎ、老生が直接間接に教育した学生諸氏は満支両国に充満して居られるので、さうした立場からも聊…