各民族が自らの意志に基づいて、その帰属や政治組織、政治的運命を決定し、他民族や他国家の干渉を認めないとする集団的権利。自決権ともいう。第一次世界大戦末期に、アメリカ大統領ウィルソンが主張し、ベルサイユ会議での原則となり、その後の民族独立の指導原理になった。 民族が集団で自殺ないしはそれに近いことをするという意味の「自決」ではないことに注意。
90年代の初頭、私が初めてトルコへやって来た頃は、「クルド問題」に興味を懐き、そのためにトルコを訪れる日本の人たちも少なくなかった。 北イラクで独立闘争を繰り広げていたバルザーニ氏の一族とタラバーニ氏の一族や双方の対立について、私も色々なことを教えてもらった。 当時、クルド人は「国家を持たない最大の民族」などと呼ばれ、「民族自決」の観点からしても、その独立運動は、当然、支持されるべきだと考えられていたようだ。 多民族国家だったオスマン帝国が崩壊に追い込まれていく過程にも、この「民族自決」という思想の影響はあっただろう。 しかし、帝国の崩壊によって独立したシリアやイラクのその後を見ると、彼らにと…
「長い19世紀」という概念があるそうだ。フランス革命から始まって第1次世界大戦に至るまでの、約125年ほどの期間をそう言うらしい。『国民国家が成立して帝国として発展し、その帝国主義国家が世界を分割統治する時代』として一括りに捉えると、この世紀の期間は100年を超える、と言う見方である。 それに対して「短い20世紀」という概念もあるそうだ。こちらは、『2度の世界大戦を経て米ソ2超大国を中心に東西に収斂・分割された世界秩序が、ソ連の解体によって終焉を迎える』までのおよそ75年間を指すらしい。 さて、上の歴史観によれば1991年に始まると言う21世紀は、果たして「長い21世紀」なのか、あるいはまた短…