日本人とは、井戸掘り民族なのではないか? 妙な言い回しになるが、そうだとしか思えない。 海の向こうに巣立っていった同胞たちの美談といえば、十に七八、それ(・・)である。 (江戸東京たてもの園にて撮影) アフリカ、中東、東南アジア、煎じ詰めれば発展途上諸国に於いて、言語の壁にも、甚だ不良な治安にも、決してめげる(・・・)ことなしに、時間と熱意を代価に捧げ、ついに「水の手」を確保した――と、大概そんな筋だろう。 全地球的観点から眺めても、清冽かつ豊富なる日本国の水資源。ありあまるほどの恩恵を、大して意識することもなく――「日本人は水と安全はタダと思っている」――享受し育った身としては、黄土色の濁り…