日本近代史学者、広島市立大学准教授。1965年生まれ。1990年立教大学文学部卒。2002年同大学院文学研究科博士課程後期課程満期退学。2005年「フィリピンと対日戦争犯罪裁判 戦争犯罪問題をめぐる日本・フィリピン関係史」で立教大文学博士。広島市立大学広島平和研究所准教授。
日本大学文理学部教授
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カントの『純粋理性批判』を通読したのはコロナ前の2019年頃だった。読み通すのにだいたい一年ぐらいかかった記憶がある。 若い頃にはカントには興味がわかなかった。 というより、ポストモダン的なものによって乗り越えられた古色蒼然たる近代思想の権化、というようなステロタイプなイメージがあったので、とても積極的に読もうという気持ちにはなれなかったのだ。 ところが、年を経るにつれ、だんだんと「もしかすると、この人はけっこう重要なことを言っているのでは?」と思い当たる節がしばしば出てきたため、とりあえず一回ぐらいは原典を通読してみようという気になった。 ところで様々な翻訳バージョンがある古典的定番の場合、…
皆さんこんにちは。 今回は哲学の本です。今年一時帰国をした際に持って帰ってきた本。処分しようかなと思ったけど、これはもう少しとっておくことに決定。自分で読んでもまだ面白いし、他人にあげても喜ばれるかもしれない。 読後なんだか興奮してしまい、下記、普段の取り繕いすら剥がれた文章になりました。そして紹介ですらなく、実に自分本位のメモで、誠に申し訳ない。でも、せっかくなのでそのままポストします。 そうそう、下世話な話ですが、中学受験や高校受験とかで出てきそうな文章です。先生方が好きそうな文章。でもちょっと古いかな。 はじめに 20年以上ぶりの再読。 学生時代に買った本ですが、大事に取ってあったので余…
(承前)死の恐怖を解決する方法 最近、哲学者の永井均さんから引用ツイートしてもらうということがあった。 https://twitter.com/hitoshinagai1/status/1723686926098788786 私のツイートのインプレッションは、ふだんはせいぜい百あるかないかといったところなのだが、このツイートは、たちまちのうちに三万件以上にまで膨れ上がった。 ツイッターは、ほんのちょっとしたことで、同じつぶやきが、ものすごく激変する。 もともとの私のつぶやきは、永井均氏の勧める『存在消滅』(高村友也)という本についてのものだった。副題にあるとおり「死の恐怖をめぐる哲学エッセイ」…
(承前)死の恐怖について 死の恐怖を打ち消すルートが一つ考えられる。 独我論の時間バージョン、”独今論”だ。世界は、「今・ここ」しかないわけで、現に今死んでいない上、死は存在しない。 これはただの観念的な屁理屈のようにも聞こえるが、同時にきわめて平凡な日常感覚であるとも言える。現に我々の多くが死を恐怖していないのは、独今論を地で行っているからだろう。 全ての人間は執行期日未定の死刑囚だ。それなのに、誰もそのことを問題にしていない。何の罪状もないにもかかわらず最高刑を課されている、というのに…。 私の現在の年齢を考えれば、五十年以内には、刑が執行されるだろう。そうは知っても、今ただちに恐怖感が押…
幼少期に、ある日突然、「自分が死ぬ」という事実が、恐るべきリアリティとともに襲いかかり、激しい恐怖とともに泣きわめく、という経験をしている者が多いと聞く。しばしば耳にする話なので、世の中の全員ではないにしろ、それなりの割合で経験者がいるようだ。 自分にもあった。かなり強烈なやつが来た。 幼児か、あるいは小学校の低学年の頃だろう。夜中にものすごく怖くなってしまい、泣きわめく自分を、両親は盛んになだめてくれたが、それらの言葉の全てが、むなしく響いたものだった。 実は、私の一人娘にも、それが起こった。 このときも、やはり私は、妻とともに、考えられる限りの慰めの言葉をかけてやったが、語りかけながら「こ…
ブログに「マルコによる新明解独語辞典」というタイトルをつけた。 「新明解~」というのは、ご存じの通り独創的な編集で知られる国語辞典にちなんだものだが、頭についている「マルコ」というのは、私のクリスチャンネームだ。 といっても「幼児洗礼」といって、赤ん坊の時に親の意志でつけられたものだ。私の実家は、たまたまキリスト教の家庭だった。 幼児洗礼を受けた者が、ある程度の年齢に達して、あらためて自分の意志で信仰を固めたいと望んだときは、「堅信式」というのを受ける。 私は、それは受けていない。信仰心が育たなかったのだ。 不信心な息子に、親は、それを強制することはなかった。長男なので本来なら家の宗派を継ぐべ…
哲学には大きく分けてタテ問題とヨコ問題というのがある、というのが永井均氏の説である。 …というように二種類に分けて言うと、あたかもこの両者が拮抗しているような印象を覚えるが、実は哲学史上、ほぼ全員がタテ問題を論じており、ヨコ問題に自覚的なのはウィトゲンシュタインと永井均ぐらいしかいないのである。 デカルトもカントもフッサールも、みな最初はヨコ問題に気がついているようなのだが、議論を始めるや否や、あっという間にヨコのものをタテにしてしまうらしい。 なぜそうなるかというと、ヨコ問題は、ある意味で言語に乗せることが不可能な側面を持っているからだ。 だから皆、本当はそれを知っているのに、それがわからな…
【私の謎】子供の頃の謎、 人生最大の謎について 私が子供だった頃の謎、これが今も 人生最大の謎 として残っています。 その謎とは、、、 小学低学年の頃から、これまで何度も考えましたが、答えが出ていません。 その謎とは、これ👇です。 ・「なぜ私は、この体に私として存在しているんだろう?」・「なぜ私を中心に、私だけを感じる世界が存在するんだろう?」・「自分が、この世からいなくなったら、誰が私の代わりに自分を感じるんだろう? 私が生まれてくる前は、誰が自分を感じていたんだろう?」 ・「私がいなくても、世の中は存在し、進化していくんだから、私を感じる私は、いなくても良いのではないか? 何のために私は存…
「お前なんか失せろ」「死んでしまえ」……実を言うと今でも時折そんな言葉を聞くように思う。もちろんそんな言葉は幻聴に過ぎない。今はそんなことを言う人はどこにもいない。でも、過去にずっと嫌われて、やることなすことボロクソに言われて過ごしてきた経験は染み付いてしまっている。過去にこうしたことを思い出して憎悪に取り憑かれて、あいつらをぶん殴るまで死ねないと復讐まで誓って生きたことを思い出す。腸が煮えくり返る思いを抱えて、酒に溺れて生きたことを。何も悪いことをした覚えはないのに、なぜ自分はこんなつらい目に遭わないといけないのだろうとひたすら憎悪を煮えたぎらせた日々……今はそんなことは考えない。人生は続く…
今日は休みだった。朝、イオンに行きいつものようにいろいろ考え事をする。1つ思い出したことがあった。断酒会に通い始めた時、参加者の方から「最初に会った時は目が死んでたよ」と言われたことだ。それはもっともなことで、断酒し始めの頃は会の意義もわからずまだ酒に未練があった。そして同時にその酒を断ち、自分なりに新しい生き方を探さなければならなかった。つまり酒という生き甲斐を失ったばかりだったのだから、生きる意欲というものがまったく湧いてもいなかったということになる。夏目漱石ではないが、あの頃の私は「迷える羊」だった。だが、断酒会の先輩の背中を信じて前に進むことにしたのだった……そして今、確かな生き甲斐を…
youtu.be 花澤香菜「Love Me」Music Video追憶と指先花澤香菜アニメ¥2444 いけないボーダーライン バタバタバタバタ。 先日から椎間板ヘルニアで母親が入院中。手術も無事終了。 蔵書点検で休館中だったので久しぶりの図書館。 読みたい本が追い付かない。 パンケーキ食べるのだけが楽しみになってる。 月に二種類限定のが出るので(´~`)モグモグ アクションとリズム系が超絶下手で全然ゲームが進まない。 ひろゆきとかホリエモンとかの話をありがたく聴いてる人って社会的弱者の人が多いよな... YouTube 『石原夏織のCarry up!?』 聴 Josh Johnson / …
雑食というのでしょうか。ひとつのテーマを深掘りして読みあさる、というのではなく、そのとき気になったものを雑多に読んでいます。 とか言うと読書家みたいだけどめっそうもなく、本なんぞ一冊も読みません、という層の次くらいなレベルです。 ひとつのテーマを深掘り、というのにあこがれるけど、すぐに飽きて次を手に取ってしまいます。愛と忍耐が、たりない。 「宇宙人と出会う前に読む本 全宇宙で共通の教養を身につけよう」高水 裕一 宇宙人と出会う前に読む本 全宇宙で共通の教養を身につけよう (ブルーバックス) 作者:高水 裕一 講談社 Amazon 日本を一歩出ると、日本の常識は通用しない。よく言われる話ですが、…
2008年 3月23日 茨城県土浦市 常盤線荒川沖駅構内で、文化包丁とサバイバルナイフを振り回しながら、通行人ら8人を次々と切りつけた。二人死亡。犯行後、交番に「犯人は私です。捕まえてください」と出頭した。動機は「死刑になるため」 世の中に善悪は存在しない。人を殺すことも悪ではない 金川真大 外務省勤務の父の長男として生まれた。長男で初めての子である真大を父はかわいがり期待した 真大の成績表は普通であるため、父は真大を大器晩成型といったが結局成績はかんばしいものにはならなかった 高校時代、真大は弓道部に入部し全国大会に出場する腕前になる。成績も良く、真面目で優しく評判は良かった 沖縄の修学旅行…
哲学入門読書会で最初に選んだ六冊が 2024年秋には読み終わるため、第二シリーズの書籍選定をおこなわねばなりません。 次期選書の大まかな方針としては、 極めてよく売れた・難しくない哲学の本で、かつ中高国語科教師の好きそうなもの:三冊 (できれば「読者」という歴史的存在者に関する歴史的反省を含む)読書論:三冊 というところまでは決まっています。 哲学書の候補 柄谷行人『哲学の起源』(岩波書店, 2020) ISBN:4006004133 浅田彰『構造と力』(勁草書房, 1983→中央公論新社 2023) ISBN:4122074487 永井均『翔太と猫のインサイトの夏休み:哲学的諸問題へのいざな…
以前、このブログでも紹介したことがある、石川求『カントと無限判断』であるが、 伊野連『カント哲学における影響関係』カント哲学における影響関係 ―形式論理学、観念論から量子力学、AI まで―作者:伊野 連三恵社Amazon の「第I部 無限判断論」を読んだら、石川の本における「無限判断」論について、研究をされていて、私も改めて、石川のこの本を読んでみた。 おそらく、石川のこの本はこの問題を研究する上では、必要十分な記述なのだろうと思うが、哲学研究者独特の晦渋な文章となっていて、「この」問題の背景にある思想的な相互関係は分かったから、つまりはようするにどういうことなんだ、というのが、通読しても、ぴ…
はじめに X上でなぜかしばしば直接的・間接的に絡んでくださる谷口一平氏が、次のようなポストを投稿していた。 永井哲学と入不二哲学の基本的な関係は、 θ=π/2つまり90度の回転である。すなわちそこでは、タテのもの(超越論的構成)はヨコ(横方向への展開運動)とされ、ヨコのもの(山括弧の存在)はタテ(垂直に働く現実性の力)とされるからである。もちろん、ただ回転しただけでは全然ないが。— 谷口一平 A.k.a.hani-an (@Taroupho) 2024年3月14日 永井哲学と入不二哲学の関係は π/2 らしい。 永井哲学か入不二哲学の一方のノルムが0の場合でも、内積は0になるけどね。 本記事で…
・トンツカタンお抹茶「かりんとーーのくるーまー♪」が著作権侵害の可能性があるらしい!DOVA-SYNDROMEのあれこれで。歌をつけると二次使用になるみたい。フリー音源のどこまでが「フリー」なのか難しい。概念の難しさと言えば「人が少ない」もある。今治市内は人が少なくて走りやすいなーとレンタサイクルしながら感動していたら、シャッター商店街に遭遇して、人が少ないって嫌だなーと思ったもの。 ・チェウォンの昔のビジュアルは小松菜奈を志向しているらしく、小松菜奈といえば自由へ道連れだしroseだよなとMVばかり思い出す。あんまり俳優仕事見てない。舟を編むは?池田エライザ。「来る。」があった。 ・5月、ウ…
どうもムクナです。 プロテインを変えたせいか寝不足のせいか体調を崩してますが 『これがニーチェだ』 永井均 を読んでの頭の整理 第二弾です。 本書を読んで、巷で謂われる 分かりやすい言葉、 単純な言葉、 強い言葉 を疑うことを人生で最も強烈に体験した気がします まず ニーチェは世界の事象の背景には「力への意志」が存在すると唱えました。 弱い意志の力は解釈の力となって現れます。 世界を自分の望むように解釈し、その解釈を押し付ける。 キリスト教における道徳や罪の意識のシステムが挙げられます。 人の価値は〇〇で決まる、私たちは〇〇らしく生きなければいけないと解釈を通じて他者を支配する意志は 〇〇以外…
どうもムクナです。 リスナーから多数の本が贈られてきましたが一番最初に手を付けた 『これがニーチェだ』著者 永井均 を半分読んでの雑記です 読んで思ったのは 当時だけでなく今の社会常識とも相容れない哲学だということ。 というより彼は社会と群棲動物としての人間、均質化された卑小な人間に否定的な立場を取っていたこと。 だからこそ厨二病製造機足り得たのだと納得もしました。 ニーチェ自体の哲学は分解すると真理への誠実さがまずある。 そして真理が必ずしも道徳と一致しないことが分かる。 例えばイジメられた子には原因があるなどは遺族の気持ちを考えればとても言えたことではない。 しかしそれが真理の場合もある。…
藤子・F・不二雄のSF短編のことを知ったのは、実を言うと、2000年に発行された永井均の『マンガは哲学する』経由であり、つまり、私はSF短編集のかなり遅れて来たファンなのである。私が2000年に読んだ『マンガは哲学する』は講談社刊の単行本だったが、同書はその後2004年に講談社で文庫化され、さらにその後出版社を変えて2009年に岩波現代文庫版が出て、現在に至る。 www.iwanami.co.jp 私は、2009年に、Web評論誌「コーラ」に「吸血鬼はフランツ・ファノンの夢を見るか」という論文を書いた。この論文で私は、藤子・F・不二雄のSF短編の中の「絶滅の島」(1985年)と「流血鬼」(19…
雑誌『情況』2024Winter号で、谷口一平「「マイナス内包」としての性自認の構成」を読んだ。高度な哲学知識が求められ私としては正確な把握に苦労するが、とても独創的で明晰な論だろうと感じる。 情況出版 “変革のための総合誌” この論文は、ジェンダーに関わる内容であることが影響して、ある哲学雑誌に採用されなかったことが、話題だった。以下はその経緯のまとめ。https://togetter.com/li/2282072 論文から少しだけ引用。《蛇は、「おまえは谷口一平という一人物として、客観的世界の中に存在しているぞ」とささやいたのである。このとき蛇が同時に、そっと教えてくらたことがまだあるはず…
ふと書棚のこの本が気になってカバンに入れて持ち出し、朝のファミレスで読んでみた。ページを開くのは20年ぶりくらいだろう。 池田晶子(1960-2006)は、僕と同世代の哲学系の書き手だ。といっても研究者ではなく、哲学の思考そのものを生きた人といっていい。1990年代後半の哲学ブーム(もはや覚えている人は少ないだろうが『ソフィーの世界』のベストセラーがきっかけになったもの)の頃、その安直な潮流を批判する発言をしていて、僕には共感できる書き手だった。 振り返ってみると、僕はその頃、哲学ブームに一役買った竹田青嗣の博多での読者グループに参加していて、彼の話を定期的に少人数で聞く機会があった。ただ竹田…
永井均さんの、問題の獨特の立て方に惹かれて、McTaggart さんの論に對する註釋と、手持ちの資料から類似の議論とを纏めた。 永井さんの問ひは、昔に私が〈此の經驗〉を〈處〉に迄切り詰めた揚げ句に諦めたものだった。永井さんも、獨在だけではなく、世が成り立っている事とで挾み合はせて、問ひを問へるものとして成立させてゐる。挾み合はせる爲に汚染し合ひ、除染する爲に新たな槪念を開發する事が、思考の道行きになってゐるのだと思ふ。 scrapbox.io 時間の非実在性 (講談社学術文庫)作者:ジョン.エリス・マクタガート,永井 均講談社Amazon 時間の正体 デジャブ・因果論・量子論 (講談社選書メチ…
現代思想2024年1月号 特集=ビッグ・クエスチョン——大いなる探究の現在地 作者:山極寿一,佐藤勝彦,中村桂子,永井均,三牧聖子 青土社 Amazon キンドルで購入。 永井、入不二、青山、飯田といったいつものJ哲学大家たちのものは面白くて、それ以外はちょっと……、という予想通りの中身だった。ただ、加藤尚武さんのが結構良かったのは年齢を考えると凄い。地力があると年とってもいい論文書けるんだろうね。
2/14 祖父の墓参りにようやく行けたーっ 今日は2月にやりたかったこと(墓参り)を出来たのでもうよしとします。 あとは本のために原稿を書くだけだーーーーーという気持ちです。 仕事はようやくぼちぼち入り始めました。そろそろ英語を勉強しないと仕事に支障が出そうです。 私・今・そして神 開闢の哲学 (講談社現代新書)作者:永井均講談社Amazon 墓参りに行った後、街の方に出て食材を買うなどしたのですがバレンタインなのでひとが多かった。スタバで永井均の『私・今・そして神』を読んだのですが、 主題に興味が湧かないまま読了。 哲学科に入る人の中には、論理を組み立て隙のない議論をするのが好きな人や、実存…