マックス・オフュルス(Max Ophüls)による1934年作『永遠のガビー(Everybody's Woman)』について。 『魅せられて』『忘れじの面影』に共通する、どこにもいけない人物とどこにでもいける人物という対比がこの映画にも存在しており、今回は父親によって家に閉じ込められていた主人公が、最終的には歌手、映画スターとしてその虚像が人々からアクセスできる存在(街中に顔写真が貼られ、虚像としてのバックストーリーが大きく売り出され、「映画館に行けば会える」存在)へと変化していく。しかし、実像としてのガビーは虚像の裏に押し込められ、どこにも行くことができない。 冒頭、スターとなったガビーのマ…