昭和48年の秋、沸騰するようなニュースが流れた。 江崎玲於奈博士が日本人として、三人めのノーベル物理学賞を受賞したのである。 10月末にテレビや新聞で報道され、その授賞式はスゥエーデンのストックホルムで 11月に開催される。 悪友たちとの話し。 A「いやぁ、すごいなぁ、技術立国ニッポンのほまれだよなぁ」 B「ああ、だけど。受賞の研究内容ってどんなのかなぁ?」 C「そんなの、わかるわけないだろ。おれも含めて、ここに居るやつ全員『ど文系』だぜ。世界最先端の物理学じゃないか。むりむり!」 B「うん、だけど何かトランジスタに関係する理論だっていうぜ」 C「え、トランジスタって、通信機器やラジオ・テレビ…