いけなみ・しょうたろう(1923-1990) 作家。小説家。 1923年(大正12年)1月25日、東京・浅草生まれ。下谷・西町小学校を卒業後、茅場町の株式仲買店に勤める。戦後、東京都の職員となり、下谷区役所等に勤務。長谷川伸の門下に入り、新国劇の脚本・演出を担当。1960年(昭和35)年、「錯乱」で直木賞受賞。テレビシリーズとなった作品も多い。美食家・映画評論家としても著名である。小説、エッセイ多数。1990年(平成2年)5月3日、急性白血病で急逝。
チキンライスと旅の空 (中公文庫) 作者:池波正太郎 中央公論新社 Amazon 私のところでは、むかしから猫を飼っているので、猫のいない自分の家など考えられなくなってしまっている。 ジャズも好きな池波正太郎。 朝から飲んでた正太郎父。昼間にお酒が足りなくなり、買ってこいと言われた正太郎母、酒屋の帰り道に産気づいて、産婆さん呼んで家で生まれたのが正太郎。 デパートの食堂でのおばさんたちの会話よ。そういう人たちからはさっさと席を離れましょう。 情緒をうしなった町は「廃墟」にすぎない。 人口が増える割には家族は分裂する。高層集合住宅をつくればいいやの都政や国政。都市計画なんてあったもんじゃない。だ…
鬼平誕生のころ 食べ物日記 (文春文庫 い 4-91) 作者:池波 正太郎 文藝春秋 Amazon トヨ子疲れているなり。月に一度は旅に出てやって、やすませるようにしたいと思う。 鬼平犯科帳を書き始めた昭和42年ごろの日記。没後に遺族の了承を得て出版。 食日記に愛猫も出てくるの、かわいい。 写真もいっぱいでうれしい。 ああ、人の食日記ってどうしてこんなにたのしいの。 食っていうか、献立という意味ではヨーガンレールもしかり。 直木賞を取ってからは劇作家よりも小説家に専念。 ロックフェラーが書いたがった飛騨の旧日下部邸は今は重要文化財の民芸館。 池波正太郎ファンらによる対談。「池波さんは行間がスカ…
江戸前 通の歳時記 (集英社文庫) 作者:池波正太郎 集英社 Amazon うまく死にたい…。 江戸の深川、イタリアのベニス。 浅草、永住町で育った池波正太郎。 秋山小兵衛のモデルのうちのひとり、三井老人。例の若い嫁さんと猫2匹といっしょに住んでる。 寄せ鍋よりも具が2、3種類しかない小鍋立てが好きな正太郎。 キャベツ、江戸時代初期にヨーロッパから輸入。しばらく観賞用としていた(笑)。明治の初め頃にやっと食用に。 京都の愛宕神社。明智光秀がおみくじ引きまくったところ。 白瓜は、奈良漬の花形である。奈良漬大好き! 江戸で握り寿司が出て来たころはコハダが花形。 松平容保、京都に来てはじめて松茸の味…
食べ物について書かれた文章の良し悪しは、簡単に判断できます。あくまで個人的基準によって、ですが。読んで食したくなるかどうか。目で文字を追いながら、口中に唾が滲んでくるようであれば名文です。 多少日本語として乱れを感じたとしても、評価は揺るぎません。逆にどんな名文家の手になる作品でも、食欲を刺激されなければ駄文に等しい。 さて、例えば小説なら、さり気なく出てくる食べ物がおいしそうであれば、例外なくその小説は面白い。池波正太郎さん、北方謙三さんらが代表格ではないでしょうか。 「日本の名随筆26『肴』」(池波正太郎編、作品社1984年刊行)は、酒の肴についての1冊。昭和の時代に活躍した作家、映画監督…
新装版 夜明けのブランデー (文春文庫) (文春文庫 い 4-90) 作者:池波 正太郎 文藝春秋 Amazon 職人は、不器用がいいんだ。 早寝早起きしたい池波正太郎。 お葬式、伊丹十三の映画のほう。観たいー。 永倉新八の話、かっこいいよねぇ。チンピラに囲まれたときの話。 女中は「さん」づけでもダメになった。東京では仲居さんとは呼ばないらしい。 ポケットがいっぱいあるベスト。バッグのかわり。そうだったのね。釣りベスト?今は女性でも流行ってるみたいだけど。 宝物の名刺。肩書が(笑)。でも東京大空襲で焼けてしまった。 猫にやさしくない世界なんて、やだ。 ゆで卵の絵!このセンス、いいわぁ。 ヘアト…
ル・パスタン (文春文庫 い 4-136) 作者:池波 正太郎 文藝春秋 Amazon 狭い家なら簡素に暮らすほかない。 1987年、一日二食は変わらないけど、夜中に仕事をするのはやめて23時に寝るようになった池波正太郎。 虫やしない、一時的な空腹の虫を落ち着かせる軽食など。 人はひとりでコーヒー店に行って、ひとりでコーヒーを飲む時間を1日のうちでつくらなければいけない。恩師の教え。なんかいいね。 江戸時代のおでんは味噌が主流。 こんにゃくは消しゴムからできている。正太郎母、おもしろいよねぇ。 ヒがシになる下町っ子。コーシー。 ひいおばあちゃんに、好物のそうめんつくってくれるひ孫とかかわいすぎ…
俳優の沼田爆氏(1940-2024)が8月末に自宅で倒れて亡くなられていたというニュースがあった。 沼田爆 - Wikipedia 本年2024年1月〜3月にTBSで宮藤官九郎脚本の『不適切にもほどがある!』という大変興味深いドラマが放映された(主役:阿部サダヲ)。コンプライアンスなど、いろいろなことを考えさせられたドラマだった。 私は俳優が歳を取って容貌が変わっていても、比較的に誰であるかわかる方だと思うのだが、主人公たちが通う喫茶店「すきゃんだる」のマスターが84歳になった沼田爆であることがすぐにはわからなかった。*1 沼田は名脇役だが、私には中村吉右衛門版『鬼平犯科帳』の同心村松忠之進の…
7110さんの昭和ホルモンブログ(http://shouwahorumon0314.sblo.jp/)に あった通り時代劇はおもしろいはおもしろい。 特に昔のやつ。 7110さんホントいいところつきますねぇ。 池波正太郎さんとは。 雲霧仁左衛門なんて出てくるところなんてすばらしい。 仁左衛門の役はいろんな人がやっているけど、見慣れているせいか、平成になってからの山崎努さん、中井貴一さんがしっくりくる。 あと天地茂さん。 天地茂さんは7110さんのブログ中に明智小五郎といえばで推されていましたね。 日記・雑談ランキング
食卓のつぶやき (中公文庫) 作者:池波正太郎 中央公論新社 Amazon むかし、男たちの目ざめは、味噌汁の匂いから始まった。 ミルクなしのコーン・フレイクス。ああ、切ないねぇ。 江戸時代の侍の日記には丹念に食事を記録したものもある。 日本における牛や馬は人の労働を助け、一緒にはたらく仲間だから、この生きものの肉を食べるなんてとんでもなかった。池波正太郎のおばあちゃんも肉は食べなかったらしい。でも大抵の日本人がおいしさに負けちゃった。。 ナポレオンや西郷隆盛。どんな俳優でも演じきれない英雄はいる。でも、戦争と平和のナポレオンはよかった。ハーバート・ロム。ああ、たしかに。 ナポレオンは早飯で有…
喫煙室 smoking roomを読んで 日本専売公社(JT) 昭和五〇年に(煙草)専売公社が配っていたものをまんだらけでゲット。 ご存知、まんだらけというのは本がビニールで包装されているため、店員に言わぬ限り中身をみることができない。言ったところでサブカル上流階級意識甚だしい店員どもに面倒臭がられるのがオチであるので、基本気になったものは値段と相談して買うようにしている。現在のJTの前、(煙草)専売公社が出したフリーペーパーなのかミニコミなのか。400円と値段も手軽であり買ってみることにした。 結論、買いで大正解。タバコに関する素ン晴らしいエッセイ集であった。 (奥付には非売品と書かれている…