交換者同士の直接的なやり取りなしに成立する交易形態。交易相手が特定の場所にあらかじめ置いていった品物がほしい場合、自ら持参した等価の品物と引き換えに持ち去る。その際に互いに物理的な具体的な接触、やり取りがないことが特徴的である。無言交易ともいう。人類学の分野で研究されており、共同体間の交易の形態としては、古くから存在する。
沈黙交易―異文化接触の原初的メカニズム序説
すべては「贈与」から始まる 「ギフト」を定義するということで、原理的、哲学的な話をいたします。よくぞ贈与について僕のところにお訪ね下さいました。そういう抽象的な話をさせると、いくらでもしゃべりますから(笑)。 「贈与」は経済活動の一番基本にあるものです。すべては贈与から始まると言ってよい。でも、贈与という概念の定義は一筋縄ではゆきません。「これ、あげる」「ありがとう」というような単純な話ではないのです。 経済活動は新石器時代の「沈黙交易」から始まると経済史ではいわれています。沈黙交易というのは部族のテリトリーの周縁部に「何か」が置いてあるのを見て、「あ、こんなところに『何か』がある。これは私宛…
すべては、「右と左」に分けて、「譲り合う交通ルール」にすぎません。 これは交じり合わない、「励起し減衰する」物理)すべての「輸送」を「暗黙の次元」で支持します。 なぜ上手くいくのか、それは自然界同様、全てが知らず知らずに譲り合っているからです。 キーワード:チョムスキー「文法」 カール・ポラニー「沈黙交易」 物語 交通(運動・行動) ギブ・アンド・テイク 贈与論 貨幣経済(交換経済) 互酬性(消費経済) 利他主義 東洋・西洋のパラレル的融合 「主観と客観」を超えたゲームルール ゲーム理論(双方向性) 経路依存性(リチャード・ファインマン) 参考 名著精選 「言語」 監修 福井直樹 渡辺明 著 …
前後しますが、「レヴィナス」に関連した投稿がまだあったので載せていきます。 また長いです。 あと、次の土曜日の更新は旅行に行くのでお休みします。次回の更新は来週の火曜日です。それまでに書きたいことができたら更新するかもですが、未定です。 スピ某所で教えてもらった文章や本などを差し障りのない範囲で紹介していっています。 日本の文脈 作者:内田 樹,中沢 新一 発売日: 2012/01/31 メディア: 単行本 以下、内田樹、中沢新一『日本の文脈』より抜き書きーーーー ◎ 内田:人類の経済活動の起源にあるのは、「自分にとって有用なものを贈与されたので返礼した」という行為ではなく、そのへんに転がって…
11/7、題名ちょこっと変更。 いけね。「レヴィナス」を掲載するだけで終わっちゃダメだった。 抜き書きの前にこの投稿があったんでした。 抜き書きーーーーーー 内田樹、中沢新一『日本の文脈』~贈与、 の中核となるテーマは「贈与」。 二人の話は、一神教的世界観と多神教的世界観の内部からそれぞれを対比的に眺めたことによっている。 内田さん、中沢さんはエマニュエル・レヴィナスを研究し、詳しく、さらに身体性への感性に溢れた思索者。だからこの対談もその歴統に沿った文脈から書かれている。 ***わたしたちは「始原(起源)におくれた者」であり、それはつまり何ものかによって贈られた者であるという自覚。 そしてだ…
展覧会『雨足に沿って 舵をとる』を鑑賞しての備忘録アキバタマビ21にて、2020年7月4日~8月9日。 大崎土夢、小山維子、千原真実、堀田千尋、松本菜々による展覧会。 松本菜々《黒潮(椰子の実)》について 壁面に掲げられたパネルは、左端が縦に銀色で塗りこめられ、左上の約9分の1の区画には椰子の木の林を水色でメッシュ状に雨に煙るかのように描き、その他の部分はやや色味の異なる水色で埋められている。絵画の右手には、少しだけ距離を離して黒い布が貼られ、余った部分が床の前の鉄枠へゆったりとかけられ、さらに残りの部分が床へと垂らされている。黒い布が敷かれた部分から少し間を空けて水色のアロハシャツとその脇に…
『最新! 秘密結社の謎』 世界の裏側で暗躍する組織の実態を暴く 知的発見探検隊 イーストプレス 2011/7/15 <エコロジーを実践しカッパとの共生をはかる「下総カッパ団」> ・下総カッパ団は、1724(享保9)年、下総国印旛村の豪農、安田伝兵衛によって設立された人間とカッパの親睦団体だ。大の相撲好きだった伝兵衛が印旛沼で出会ったカッパのシンサクと偶然相撲をとって勝ったことで、意気投合。カッパと人間の共生を目的として旗揚げされた。設立当初は、うなぎ釣りや川相撲、水泳などの各種の催事を開き会員数は増え続け、最盛期には300名もの会員数を誇ったという。 <ナチスを生みだした秘密結社トゥーレ協会>…
背く画家 津田青楓とあゆむ明治・大正・昭和 (練馬区立美術館) 閉まっている美術館が多いなか津田青楓展を見に行った。背くとは上手い言葉を見つけたと思う。タイトル通りの内容で、展示資料によって時代的理解が深まる。 まず、図案画、刺繍、装幀など、デザイン・工芸的な仕事がある。図案をしていたのは十代から二十代だ(刺繍は三十代)。図案画はモダンだったと思う。職人的な染織図案の技術と、小美術、レッサーアートという近代芸術的な感覚。この時代にこのような達成があったのだ。見ることができてよかった。 青楓が日露戦争の体験を書いた『白樺』(1915年)。また、1920年代のポスター(「反軍国主義週間」「現行検閲…
「アイヌと縄文」瀬川拓郎著 ちくま新書 2016 遣隋使と遣唐使と清国しか習った記憶のない中国の王朝ですが、遼という契丹時代に、根来寺と武器のやりとりがあったことや、遼国に使者を送っていたことが、遼の記録には残っていることを知りました。ですから、この本で、アイヌと元の間で交易があったり、人の行き来があったことは少しも不思議ではありません。日本の中枢は知っていても、正史には他国との貿易があったことは極力書かなかったようです。日宋貿易、朱印船、密貿易、海に囲まれた日本ですから、貿易は盛んだったはずですね。黒潮など海に詳しい種族が古代からいて、代々、海運業で食べていたようです。安曇氏、安東氏など。ソ…
『うわさの人物』 心霊と生きる人々 加門七海 集英社 2010/3 <『普通の高校生がユタになるまで』(平博秋)(ユタ)> ・それは17歳のことだった。 ・母方のお祖母さんがカミンチュ(神人)だったんだから、きっと感じたんでしょうね。 <拝みの言葉は自然に出る> ・はい。お祖母ちゃんのときもあるし、大日(大日如来)さん、天照さんが教えてくれたり。 <神様の生の姿とは> 「ユタの世界や霊感の世界で、ある程度できるようになったら、夢で免許証みたいな、本をもらうんです。「帳簿」と言いますが、聞いたことあります?」 「あります。なんとか長老という方が出てきて、ユタの許可証を渡すんでしたっけ。」 「ウテ…
1 原始時代のきらきら光る貝殻や石粒の貨幣は、「交換の道具」ではなく、「贈与=捧げもの」の形見だった。 それは、衣食住のものよりももっと大切なものだった。というか、大切さの質が決定的に違っていた。前者は異次元的超越的な存在で、後者は現世的地上的な存在だった。だから「交換」の道具にはならなかったが、だからこそ「贈与=捧げもの」の形見としてはとても有効だった。だれも、ダイヤモンドとリンゴを交換しないだろう。それは、価値の大きさだけの問題ではない。価値の質が違うのだ。原始人にとっての貨幣は、あくまで天上的で異次元的で超越的な存在だった。 そもそも「交換」という行為自体が、一般的に考えられているほどか…