今年も無事秀山祭開催の運びとなった。何より目出度い。播磨屋の早逝(現代に於いて傘寿を前に亡くなるのは、こう云っても差し支えないであろう)は惜しみても余りあるものであったが、幸いな事に幸四郎・松緑・菊之助と云う立派な後継者がいる。播磨屋の親類に人気・実力とも兼ね備えた花形役者が揃っている限り秀山祭は継続されて行くであろうし、また継続して行かなければならないと思う。 まず昼の部を観劇。入りは大入りとまでは行かなかったが、九分通りな感じであったろうか。幕開きは『摂州合邦辻』より「合邦庵室の場」。丸本の名作である。ここ十五年程、玉手御前は菊之助しか演じておらず、現代では専売特許の感がある。それでも歌舞…