夏の終わり、俺たちは二人で北の山に登った。大学のサークル仲間であり、気の合う友人でもある 拓也 と俺。普段はヘラヘラしてるくせに、自然に関しては妙に真面目な奴だった。 目的は山頂の向こうにある湖。人がほとんど立ち入らない“幻の湖”だ。拓也が地図と衛星写真で見つけて、しつこく誘ってきた。 「遭難とかないから。GPSあるし、予備バッテリーも3つある!」 その言葉を信じて、俺も軽い気持ちで同行した。 でも、あの夜から状況は一変した。 下山途中、夕立が来た。 急な雨と雷、道はぬかるみ、木々は見分けがつかないほど揺れた。焦ってルートを外れ、気づいた時には完全に迷っていた。 GPSは圏外。バッテリーは雨で…