●歌は、「佐保過ぎて寧楽の手向に置く幣は妹を目離れず相見しめとそ(長屋王 3-300)」である。 【奈良の手向け】 「長屋王(巻三‐三〇〇)(歌は省略) 奈良山を越えて山城方面にゆくのには、奈良坂越と歌姫(うたひめ)越とがある。こんにちの主要路は奈良市街から般若寺をへてゆく奈良坂越(奈良街道)であるが、古代の奈良山越は、主として下(しも)つ道の延長線でもあり、平城宮址のまうらから北に向う歌姫越であったと思われる。(巻十三‐三二三六)(歌は省略)とあるのもそれであろう。佐紀から真北にすすむと・・・奈良市歌姫町・・・この道は奈良山の中でいちばん低いところで、・・・のぼりつめたところに歌姫の添御県坐…