以下、創作小話 『春の日に、陽の光が降り注ぐ昼間、こんな茨のある細い路を、時には身を屈めて辿り、通り抜けると、そこには直径三メートル、深さ一メートルくらいの穴が掘られていて、木々の手入れで落とされた檜の枝が穴一杯に放り込まれていた。きっと週明けには燃やされてから埋められるのだろう。だけど日曜日の今日まで、そこは秘密の場所で、枝の隙間から穴の中に入れば、さっき通ってきた茨の路地以上に入り組んだ狭い空間だけれど、檜の枝をまたいだりくぐったりすれば人が一人か二人座れるくらいのぽっかりあいた場所があった。そこには枝の隙間を潜り抜けてきた木漏れ日が丸く、海月のように重なっている。少年だった私はそこへ行け…