校庭越しに見える内浜の渚が、夕焼けで茜色に染まる。昼の蒸し暑さを吹き飛ばす涼風が、グラウンドを駆け抜けていった。 きょうから食事を作る時間を作業に割くため、配達の弁当となった。大会まであと二日、長かった合宿もそれで終わりだ。 即席の演奏会が終わった後、僕らは明日の最後のテストフライトに向け、急ピッチで機体の仕上げ作業を続けた。朋夏はシミュレーターにかじりついて訓練し、湖景ちゃんは目を皿のようにして、プログラムをチェックしている。 宇宙科学会は土壇場にきて、大会優勝という目標に向けて団結した。しかし大きな問題がまだ残っている。ピッチシステムの不具合と、パイロットの問題だ。 システムはプログラムが…