本作は著者にとって、信長関連作品の集大成版なのだろうか。読後印象としてそんな感じを抱いた。著者はこの作品で信長の全生涯を描いている。 冒頭ページで「信長は嬰児の頃から癇がきわめてつよかった」と記すことから始め、巻末が本能寺の変。「信長の五体は粉微塵となって吹っ飛ぶ。現世に片影もとどめない、四十九歳の最期であった」でしめくくる。 著者がこの作品で描きたかったテーマは何か。信長の心理と思考を軸にその生涯を描くということだと、私は受けとめた。その結果が信長の行動としてどう具体化されていくのか。そこにこの作品のメインテーマがあるのではないか。信長の内面心理が彼の性格を形成し、その心理が思考に反映し、行…