今年も夏が終わろうとしている。 重そうに入道雲が浮かび近くに感じた空も、今では力なくかすれた雲が模様の様に青さに張り付いて、空がやけに遠く感じる。蒸し暑かった夜も、過ごすには気持ちのいい時期なってきた。 遠慮なく肌を焼く日差しや鬱陶しい暑さが今では恋しい。 熱帯夜に友達とのむさ苦しい飲み会もいい思い出だ。海や川で遊んだり、一夏の色恋があったりと周りの人にも活気を感じられる。 今では人の活気も夏ほどではなくなり、外ではあんなに鳴いていた蝉の騒がしさも落ち着いてきている。 あんなに活発だった蝉は夏を具現化した様な生き物だ。 テンション。アドレナリン。体からあふれる熱の様な活力そのものを蝉は全力でや…