🪻【源氏物語345 第13帖 明石7】風雨もおさまってきた。屋敷は焼けてしまい 皆、後始末に奔走する。漁村の住人達が気にかけて集まってくれた。 〜そのうち風が穏やかになり、 雨が小降りになって星の光も見えてきた。 そうなるとこの人々は源氏の居場所が あまりにもったいなく思われて、 寝殿のほうへ席を移そうとしたが、 そこも焼け残った建物がすさまじく見え、 座敷は多数の人間が逃げまわった時に踏みしだかれてあるし、 御簾《みす》なども皆風に吹き落とされていた。 今夜夜通しに後始末をしてからのことに決めて、 皆がそんなことに奔走している時、 源氏は心経《しんぎょう》を唱えながら、 静かに考えてみるとあ…