あらかじめはっきりと線を引いておいて、それを越えたらその先は一歩も進まないと拒むことなどできない。時には、失敗を成功への足がかりにしなければならないこともある。 ____ 希望と絶望のあいだで、絶妙なバランスを保たなければならない。(中略)結局、すべてはバランスの問題なのだ。ーロヒントン・ミストリー著「A Fine Balance』(未訳) 白黒はっきりさせると、逆に進む方向に迷ってしまうこともある。 はっきりしないことは、片隅に置いておいて、大事なことほど大事にしていけばいい。 長男が入学式を終え、いよいよ学校生活が始まった。 以前よりも朝一時間もはやく長男が登校するため、早起きをして送り出…
こんにちは! 約1年も更新しないブログはもはやブログなのか?という感じですが…。 ここ数年でYA以外にもいろいろなジャンルの本を読んできたので、ゆっくり紹介できればと思います。 よろしければたまにのぞいていってください! 今日紹介する本はこちらです↓ わたしを離さないで カズオ・イシグロ 作 土屋 正雄 訳 出版者:早川書房 国:イギリス 刊行:2008/8/25 ページ数:450p 定価:980円+税 装画:民野 宏之 原題:NEVER LET ME GO 2017年にノーベル文学賞を受賞して話題になったカズオイシグロの作品です。 私は先日、人生初のコロナになったのですが、この本を枕元に置き…
podcasters.spotify.com 今回は、1月から3月にかけて買った本のなかからおすすめ5冊をご紹介。 そのうち4冊はチラ見してるだけだけど、家に持ち帰ったときから読書は始まってるからいいのです。 ◆1冊め 『ひとりみんぱく』 本屋で普段行かない棚にあったせいでめっちゃ探しました。汗だくになった思い出。 ひとりみんぱく 作者:松岡宏大 国書刊行会 Amazon ◆2冊め 『埃だらけのすももを売ればよい ロシア銀の時代の女性詩人たち』 詩集久しぶりかも。詩集、読むのにエネルギーがいるので積みがちだけど今年はちゃんと読んでいきたい。 埃だらけのすももを売ればよい ロシア銀の時代の女性詩…
open.spotify.com 今回はめずらしく1冊の本を主題にしてご紹介。 ブッツァーティ『タタール人の砂漠』です。 最高のお仕事小説であり、人生の虚しさをユーモアを交えて描いた傑作でした。 タタール人の砂漠 (岩波文庫) 作者:ブッツァーティ 岩波書店 Amazon あわせて少しだけご紹介したのは、同じく待っている系文学、『ゴドーを待ちながら』。こちらも傑作です。でも、戯曲だから文章で読むより舞台を観たほうがいいとは思う。 ゴドーを待ちながら (白水Uブックス) 作者:サミュエル ベケット 白水社 Amazon 柄本明さんが演出を手掛けて、柄本佑さん、柄本時生さんが主演の「ゴドーを待ちな…
open.spotify.com 今回は雑談。 トークテーマはこんなかんじ。 前回(ファンテ回)の振り返り コメント・感想のお礼 学生時代に読んでいた本 海外文学を読むときのコツ「ふまじめな読者であれ」 みんな真面目で本当にすごい。こんなフラフラ、へらへらしながら読んでるやつもいるんだよっていうことを知って自信をもっていただきたい。後半の畳み掛けは元ネタ本あるけど書きません!ネタバレになるから。分かる人にはきっと分かる。分かったら教えてね。
親愛なる八本脚の友だち (扶桑社BOOKSミステリー)作者:シェルビー・ヴァン・ペルト扶桑社Amazon やつはみ喫茶読書会七十七冊目『親愛なる八本脚の友だち』@半杓亭 日時:2024/02/24(土)開場16:00、開始16:30、終了18:30 課題図書:シェルビー・ヴァン・ペルト (著), 東野さやか (翻訳)『親愛なる八本脚の友だち』扶桑社文庫 作品内容:ぼくはマーセラス。水族館で暮らすミズダコ。ここにとらわれてからもう1300日近くが経つ。人間たちは知らない──ぼくも人間たちを観察していて、言葉も理解することを。実は水槽からも抜け出せる。館内の夜散歩は秘密の趣味だ。ある夜、ひょんなこ…
あなたは必要なものがたくさんあると思いながら人生を体験する…それも電話と、財布と、母親の写真だけを持って旅立つ時までだ。すべてを置き去りにした日からMarinは昔の人生に関係のある人とは誰とも口をきいていない。あの最後の数週間の真実を知る者はいない。親友のMabelでさえ知らないのだ。しかしカリフォルニア沿岸から何千マイルも離れてニューヨークの大学にいても、Marinは未だに振り切ろうとしている人生と悲劇に引っぱられるのを感じる。今、何か月も経った後、冬休みで空っぽになった寮で一人、Marinは待っている。Mabelが訪ねてきて、Marinは口にされずじまいだったすべてのことに向き合い、自分の…
2月18日(日)さくらんぼ東根駅前のコーヒー屋おおもりにて、フェルディナント・フォン・シーラッハの『コリーニ事件』を課題図書とした読書会を開催しました。 季節は二月中旬にもかかわらず、あたりの景色はまるで4月のよう。 でも騙されるな! まだ2月だぞ。 まだ2月だぞ。(※大切なことなので2回言いました) 2月とは思えない風景 というわけで、今回の課題図書は、フェルディナント・フォン・シーラッハの法廷サスペンス小説『コリーニ事件』。主催者含め3名での開催となりました。 コリーニ事件/フェルディナント・フォン・シーラッハ 作品のあらすじは、 新米弁護士のライネンは、ある殺人犯の国選弁護人になった。だ…
殺人罪で服役した黒人のアイク。出所後庭師として地道に働き、小さな会社を経営する彼は、ある日警察から息子が殺害されたと告げられる。白人の夫とともに顔を撃ち抜かれたのだ。一向に捜査が進まぬなか、息子たちの墓が差別主義者によって破壊され、アイクは息子の夫の父親で酒浸りのバディ・リーと犯人捜しに乗り出す。息子を拒絶してきた父親2人が真相に近づくにつれ、血と暴力が増してゆき――。(Amazonより) ">黒人のアイクの息子・アイザイアと白人のバディ・リーの息子デレクは共に何者かに殺される。ゲイに偏見のあった父親たちは手を組んで犯人を見つけることにする。 ">ただしこの父親たちが立派な父親ではなく、アイク…
">※ネタバレを含みますのでご注意ください "> ">久しぶりにさくっと読めるミステリが読みたいな~と思い、図書館でまとめて借りた、ロバート・B・パーカーのサニー・ランドル・シリーズ。パーカーといえばスペンサー・シリーズが有名だと思いますが、実は女性探偵ものも出してるんですね。(シリーズは全6冊ですが「束縛」は返却してしまったのでここには写っていません)「女性探偵もの」とくればミステリには「3F」というジャンルがあります。 主人公が女性、著者が女性、そして大半の読者が女性、というミステリー作品を示す言葉(翻訳ミステリー大賞シンジゲート) ">サラ・パレツキーのV・I・ウォーショースキーシリーズ…
アメリカの幻想小説家ジェフリー・フォードの、日本オリジナル短編集 このフォードという作家のことを全然知らなかったのだが、2000年代に長編三部作が国書刊行会から訳出されている。 本作は、同じく日本オリジナル短編集『言葉人形』に続く日本では2作目の短編集となる。自分は『言葉人形』刊行時に書評を読んで少し気になっていたのだが、結局そちらを読む前に本作を手に取った。 編訳者によると、幻想小説を中心にした『言葉人形』に対して、『最後の三角形』は、SF、ミステリ寄り、ホラー寄りといった多彩な方向性の作品を集めたということだったので、そういう方が面白いかな、と思って。 実際、色々なテイストの作品が収録され…
open.spotify.com 今回は読書感想文のお話。 昔はてなブログで読んでいた、大好きだったブログが更新されなくなって久しい。その人が書く海外文学の感想が、本当に好き、今でも。 多分消すこともできたんだろうけど、ずっと残してくれていてありがとう、と思っている。何らかの理由で消したくても消せない可能性もあるけれど、そっちのことは考えないでおく。 今でもたまに見に行く。 いつか更新されるのを、ぼんやりと待っている。 私がほそぼそと続けているこのブログもポッドキャストも、私がいなくなったとしても、更新されなくなっても、そういうふうに、誰かに思い出してもらえたらいいなと思う。 ランキング参加中…
私にとって本とは、とても辛い体験をした時やしんどいなと感じた時、寄り添い心の支えになるものだと思っています。 なぜか??? それは、私と同じような人達が他にもいる。 少なくとも作者は同じように感じている。 声に出して言えないほど、辛く苦しい気持ちや想いが本には書かれてあって、苦しいのは私だけじゃないんだと思えるからだと思います。 カフカの【変身】はどうでしょうか? 今年はカフカが亡くなって100年。 チェコ出身作家カフカの【変身】はサラリーマンがある日突然虫になるというお話です。 なぜ、ある日突然虫になるお話が名作で人々の生きる力になるのでしょうか??? カフカについて 【変身】のあらすじ 【…
今日のスイムは千メートルを27分38秒とザ・ファーステスト。しかも千メートルを割にあっさりと休みなしに泳ぐ。お客さんに見受けられるノンストップスイマーにこれで仲間入りできたかも知れない。コツはなにしろ力を抜くこと。できる限りゆっくり泳いで体力(かなんかわかんないけどそんなようなもの)を温存すること。三十分を切れるようになると多少疲れが溜まっていても今日は泳ぐのやめようかなとは思わなくなる。僕にとってはもちろん千泳ぐことは容易なことではない。でも三十分で済むならそれほどきつくないなと思えて来る。今月は1日に休んで以来明日で丸二週間泳ぐことになる。なるべく長くそれを続けられたらいいなと考えている。…
君はTwitter見ない 言葉が届かない ひがしやしき「もと内田いま藤田」 不可思議/wonderboy - Pelicule ひがしやしき - もういない人に言ってもしょうがないんですけどね ひがしやしき - 人生ちゃんは続くらしい! ひがしやしき - さよなら!にゃんぱすライフ 狐火 - 27才のリアル 春ねむり - 春と修羅 泉まくら - 春に お久しぶりです、マキムラです。 約9か月ぶりの更新となりますが、皆様お変わりなくお過ごしでしょうか 私に関して言えば、ここ最近X(旧Twitter)に対するモチベがめっきり減ってしまって活動拠点を読書メータに移していました。 しかしふとした瞬間に…
(미제사건은 끝내야 하니까、2024)(注1:本記事はゲーム『未解決事件は終わらせないといけないから』、小説『白光』『新参者』『終わりの感覚』、映画『ファーザー』の軽度〜中度のネタバレを含みます) (注2:基本的には、『未解決事件』をクリアした人に向けて書かれた文章です。なに? まだやってない? 傷ついたことがないならそれでいいけど。まあ二時間くらいで終わるのでサッと買ってやっちゃいなよ。)store.steampowered.com なぜ小説を書きたいのだろうか。それは小説を読んだからだ――という形で、「読む」ということと「書く」ということを、結びつけてみようと思ったのである。 後藤明生『…
10時45分から病院。待合室ではアンパンマンが流れていた。この時間に放映しているらしい。カバオ達が胡蝶蘭を持っている。鉢ではなく花のついた茎。やがて胡蝶蘭の精が登場。チャイナドレスを着た高飛車キャラ。バイキンマンに捕まったところで処方せんを渡される。 薬局を出て駅へ。奈良行きの電車は海外旅行客だらけ。国内旅行客は見当たらない。toi飲食店で昼食をとる。ダルは茄子も入ったベジカレーで、これが絶品。マサラ卵はつけダレにつかった状態で小皿に盛られてきてお得。タレは食べるラー油のようなおいしさ。大食いならご飯とラッサムをおかわりして卵とか副菜ひとつひとつを米粒と合わせて味わうのに。ヨーグルトソースも好…
ケヴィン・ブロックマイヤー『いろいろな幽霊』表紙解説を書いたケヴィン・ブロックマイヤー『いろいろな幽霊』(市田泉訳、東京創元社 海外文学セレクション)の見本をいただいた。四月十九日発売予定。 素敵なカバーのイラストは原書と同じものでアーティストは Kelly Blair。 www.tsogen.co.jp
イラン暦1403年ファルヴァルディン月21日 たったひと月で空気も街中の人の表情も変わってしまったような気がする春の始まりです。今日も、散歩していると小さな公園でローカルな花見が開かれているのをいくつも見かけました。 結婚記念日と梅花見 三月はわたしたちの月なので。急な階段を登ってたどり着くいつものレストランは、扉を開くと外とは別世界の空間に足を踏み入れたような気分になれる。お料理は(だいたい)毎年同じで安心する。二人ともが好きなお店に通う回数を共に重ねていけることがうれしい。ランチコースを食べ、夜には家でもケーキを。 こんなに大事に思ってくれる人と一緒にいられて、それだけで今世やりきった感じ…
prtimes.jp情報は昨年既に公になっていたが、ガブリエル・ガルシア=マルケスの『百年の孤独』が、彼の死去から10年になる今年、遂に新潮文庫より文庫化される。百年の孤独作者:ガブリエル・ガルシア=マルケス新潮社Amazonいつからか「文庫化したら世界が滅びる?」などと一部で言われていたらしいが、6月26日にそれが本当か確かめられる。やはり新潮社の純文学書下ろし特別作品はなかなか文庫化されなかったことで知られ、安部公房『砂の女』、大江健三郎『個人的な体験』、遠藤周作『沈黙』といった昭和文学を代表する作品は、文庫化まで15年以上かかっている……が、それは随分前の話である。生前の文庫化を拒否して…
先程この本を読み終わりました。 「主婦は家でぐうたら」している? 日本よりも家父長制が根強く、日本と同様に共働き世帯が急増する韓国で、社会から卑下されマイノリティになりつつあるひとりの主婦が、日本でも翻訳されている話題の書を含む15冊を読み解き、こんな言葉を生む社会の仕組みの始まりをたどる旅へ── 「夫が妻を扶養しているのではなく、妻が、夫を働きに出られるように扶養しているのだ。」 女性、男性、非婚女性、すべての人類のこれからを考えるための教養エッセイ! 今年読んだ本の中で暫定1位。再読不可避。初読時(今回)は「なるほど!」と思いながら、でもメモを取らずに読んでしまったので、今度はきちんとメモ…
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今読んでいる本はこちら。 ●全米250万部、全世界600万部。2022年、最も売れたデビュー小説! ●ドラマ『レッスン in ケミストリー』原作! 著者デビュー作にして、世界600万部の大ヒット小説がついに日本上陸! 舞台は1960年代アメリカ。 才能ある化学の研究者エリザベスは、いまだ保守的な男社会の科学界で奮闘するが、無能な上司・同僚からのいやがらせ、セクハラの果てに、研究所から放り出されてしまう。 無職・未婚のシングルマザーになってしまった彼女がひょんなことからゲットした仕事、それはテレビの料理番組「午後六時に夕食を」で料理を指南する出演者だった。 「セクシーに、男性の気を引く料理を」と…
宇宙の果ての本屋 現代中華SF傑作選 作者:顧適,何夕,韓松,宝樹,陸秋槎,陳楸帆,王晋康,王侃瑜,程婧波,梁清散,万象峰年,譚楷,趙海虹,昼温,江波 新紀元社 Amazon 中国SFは「三体」が面白かったので短編アンソロジーにも手を出してみました。10点満点で読書会参加者の平均点が最も高かったのは、王晋康「水星播種」(平均9点)でした。今回の「誰得賞」です。読書会の主な声は以下のとおり。点数は個人的な点数で、参加者の平均点ではありません。
かねがね話頭にのぼることの多かったクリストファー・ノーラン監督の新作映画『オッペンハイマー』であるが、半年余に亘る歯痒い日延べの期間を経て漸く昨日(令和6年3月29日)本邦でも公開された。斯く言う私も切歯して待った身だが、つい今しがた宿願果たし観了えてきたところである。論評など高尚なことはできないけれど、鑑賞後の余韻の冷めやらぬうちに素直な感想を書き留めておきたい。 はじめに、本記事の題に"ネタバレ無し"なる文句を付したが、周知のとおり本作は史実を基にした映画であるから、"ネタバレ"という語はここでは些か不適当かもしれない。ただ、当方不勉強ながら件の科学者に関する知識に乏しく、斯様な己の無知に…