今年、描写の哲学に関わる執筆を二件行う機会があったが、この記事ではその活動記録ついでに、執筆の過程で伺えた描写の哲学の近年の動向を簡単に紹介したい。 「描写の哲学」で言われる「描写」とは、画像(絵や写真)に特有の意味作用を指す術語であり、描写の哲学とは、要するに絵や写真を主題とする哲学の一分野だ。 私は造形芸術にとりわけ関心があるため、研究を始めた当初はこの分野の文献を中心に読んでいた。 修士課程では画像における感情表現について研究していたが、それ以降は、描写よりも表現の概念に興味をもつようになり、描写の哲学には触れない時期が続いた(その辺の変化はこのブログにも反映されていると思う)。 ところ…