神木の空洞:甲賀三郎、山名文夫・画 1928年(昭3)1月~5月、雑誌「女性」連載(中断) 1930年(昭5)先進社、大衆文庫第6巻所収。 「神木の空洞」(しんぼくのうつろ)は現在は古書の稀覯本もしくは国会図書館デジタル・コレクションでしか読むことができない。昭和初期にモダニズムの先端を行く雑誌として「女性」が発行されていて、その末期に連載された。 舞台は湘南地方の海辺のとある村、秋葉神社が出てくるが、大磯や二宮周辺にはいくつか同名の神社が点在する。語りは三人称だが、視点は民宿に滞在する探偵小説作家の高笠にある。探偵作家に本物の探偵をさせるという微妙なアンバランスさが面白い。神社に隣接する素封…