書いているだけでも、ほのぼのと少年時代を思い出す。 僕はとても寂しかった。僕は将来が不安だった。大人たちは自由が多くていいなああと思った。じいちゃんは明治生まれだったし、憲兵として満州にも住んでいたが、戦後GHQがきて、元警察幹部とかはあらゆる公務員から追い出されたと言っていた。というか、戦後の混乱で職がなかったんだ。それが口利きで通商産業省の現場役人になり、それはもう終生にわたり、口利きしてくれた人に感謝していた。 それに、公務員に再就職できる前は、豆腐の行商もしていた。それはそれは、旧制中学を出て警察署長にもなったじいちゃんだったから、プライド的にも日常生活的にもつらかったと思う。豆腐は早…