🌊【源氏物語267 第12帖 須磨1】源氏は須磨を隠遁の地と考えていた。寂れて人口は少ないが、京にまで あまりに遠いと紫の上も気掛かりである。 〜当帝の外戚の大臣一派が極端な圧迫をして 源氏に不愉快な目を見せることが多くなって行く。 つとめて冷静にはしていても、 このままで置けば今以上な禍いが起こって来るかもしれぬと 源氏は思うようになった。 源氏が隠栖の地に擬している須磨という所は、 昔は相当に家などもあったが、 近ごろはさびれて人口も稀薄になり、 漁夫の住んでいる数もわずかであると源氏は聞いていたが、 田舎といっても人の多い所で、 引き締まりのない隠栖になってしまってはいやであるし、 そう…