かけまくもかしこけれどもそのかみの 秋思ほゆる木綿襷《ゆふだすき》かな 源氏は斎院に榊に木綿(ゆう)をかけて 神々しくした枝につけて送った🍃 〜口に出して言うことは恐れ多いことですけれど その昔の秋のころのことが思い出されます 【第10帖 賢木 さかき】 斎院のいられる加茂はここに近い所であったから 手紙を送った。 女房の中将あてのには、 『物思いがつのって、とうとう家を離れ、 こんな所に宿泊していますことも、 だれのためであるかとはだれもご存じのないことでしょう。』 などと恨みが述べてあった。 当の斎院には、 かけまくも 畏《かしこ》けれども そのかみの 秋思ほゆる 木綿襷《ゆふだすき》かな…