カネの恨みは数々ござる。 コロナ禍で、生活に苦しんで知る人も沢山いるはずです。 何をしてもまず、お金の苦労話は誰にでもありますが、 文芸評論家の野口武彦氏によると、この文句の出典は 江戸時代の歌舞伎舞踊「京鹿の子娘道成寺」で唄われた一節のようなんです。 恋焦がれる清姫の亡霊が蛇に経変身して鐘に隠れてた美しい僧侶安珍(あんちん)を焼き殺すという物語が下敷きになっています。 京鹿子では元禄生まれの歌舞伎役者瀬川菊之丞が町娘の花子に扮して、(想いの男を隠した)鐘を前に「鐘に恨みは数々ござる。初夜の鐘をつく時は、是生(ぜしょう)滅法と響くなり」と踊ったといいます。 その鐘が、金という語呂合わせとなって…