大人も子供も登場人物それぞれに人格の凸凹があって、すれ違ったりぶつかったりしてコミカルなんだけど、その中間に格差社会という大きな現実が横たわっていて教訓めいている。まるで人間関係のマニュアルのようにも見えて、点子ちゃんが失敗もするけれど大人たちそれぞれに気を使っているのが印象に残り、こういう立ち回りのノウハウって確かにもう子供の頃にすっかり身につけているよな……と思いながら読みました。 作者のケストナーが人間について「人は、子どものころにはもう、おとなになったときの性質をそなえているものだ」と書いていて、それが善の面でも悪の面でも効いている。大人が読むと「ろくでなし」という人間の性質を子供に早…