絵のないマンガ その8 1.『奇矯するのか、ミゲル。』四人のひとりは言った。 お主は、何を聴いたというのだ。誰からか。 その者は、何処の国の言葉を口に出したというのだ。 2.『帰郷するのか、ミゲル。』四人のもうひとりは言った。 お主は、誰を見たというのだ。何処でか。 あの者たちがひとり、お主が母に描くも似ていたというか。 3.『棄教するのか、ミゲル。』四人の更にもうひとりは言った。 我らを送り出した殿が、そのような事するまい。たかが硝石と交換等と。 4.『逃げるか、ミゲル。』余人の彼が言った。 わたしはノンカソリックだから、云える。 奴隷として売られたが、大和撫子らであっても。 思い出すは桔梗…