読書記録:ジンメル「現在と将来における売春についての覚え書き」(1)、(2)、(3) 前々回(冒頭リンク(2)の記事)と前回(冒頭リンク(3)の記事)、ゲオルク・ジンメルの著作「現在と将来における売春についての覚え書き」(1892年)における売春に対する世間の道徳的態度への分析をまとめました。今回はその分析内容に基づき、売春問題に関して無倫理主義が世間にもたらす利益と損害について考えてみます。もっとも、ジンメルが分析の対象としたのは主に当時の西洋社会であるため、現在の社会についても分析内容が当てはまるとは限りませんし、そもそも当時の西洋社会についてもジンメルの分析が妥当だったのかどうかも私には…