2013年公開のアニメ映画『風立ちぬ』(宮崎駿監督作品)は、筆者にとってジブリ作品のお気に入りトップ3に確実に入る作品だ。なぜならば、この作品は娯楽性より文学性を重視した素晴らしい仕上がりになっているように思われるからだ。 © 2013 Studio Ghibli・NDHDMTK Le vent se lève, il faut tenter de vivre. 「風が吹く。私たちは生きようと試みなければならない。」この一文に、この映画のエッセンスがある。二郎と菜穂子が生きようと試みるところに、その意志の美しさが表現されている。 菜穂子に肺結核であることを打ち明けられても、戸惑うことなく結婚を…