紐を引き抜く音がして、コマがスタジアムの底へ落ちる。金属の縁が斜面を削り、細かい音が立ち上がる。あとはもう、見ているしかない。指が離れた時点で、勝負の中身は手元から出ていってしまっている。 その盤面を、二人の小学生が膝をついて覗き込んでいる。片方が木ノ宮タカオ。ベイブレードが好きで、負けず嫌いで、友達が絡まれていれば黙っていられない。彼が回しているベイの名前は、ドラグーンという。 ルールは短い。先に止まったほうが負け。外へ弾き出されたほうが負け。狙う位置も、当てる角度も、そこへ持っていくための改造も、全部この一行の中に収まっている。 『爆転シュート ベイブレード』は、その一行を全14巻ぶん引き…