スシローの風除室で僕は父親の死体を見た。 壁にもたれかかり、人が行き交う中静かに息を引き取っている。行き交っている人々はそこに誰がいたかなんて気づくこともなく、待ち侘びた様子で店内に案内される。徐々に薄れかかっていく父親の亡骸を僕はスシローの赤いソファ越しに見ていた。 以前実家に帰省した際に家族でスシローに行った。予約をしていなかったので、店内で僕は待つことに。父親はなぜか風除室で立ったまま待っていた。僕の隣の席は空いているのに。 父親のことはよく知らない。よく知らないというのは、父親の要素はよく知っているがその中心というものを知らないという意味で、僕にとって父親は説明はできても、理解できてい…