1956年(昭31)東京文芸社刊。 1951年(昭26)1月~1952年(昭27)6月 雑誌「婦人生活」連載。 戦中から戦後にかけての混乱期における相思相愛の男女を翻弄した運命の行き違いと愛情の純化を描く。両親の急死で孤児となったヒロインの知恵子は、唯一の身寄りの叔母を訪ねて釧路へ向かう途中、スリに遭って財布と切符を奪われ絶望する。偶然同じ車席にいた茂也の助けで旅を続ける。彼は軍隊に召集されていた。そしてビルマ戦線で死地に直面し、誤って戦死の報が届く。知恵子は道内を転々として苦しい生活を続けるが、彼の死を知らされた後はその思いを心の奥底に秘めて修道女のような心で生きようとする。その後… 婦人雑…