必要なら、いざって時に「サービスを買える」という都会の空気を感じさせる短編集だ。 朝から酒を飲むというのは、交代勤務労働や卸売市場などの極端に早い仕事に従事する方々が仕事明けに一日の労働を慰労するためと言いつつ、それでも少し後ろめたい気分を伴いながらやる一杯だったりする。それは、これからのデイタイムを酔いとともに過ごすということであり、これからの時間を休息、睡眠に充てることを考えれば、飲んで寝るのだから当然ということでもある。 見守り屋というサービス業の正体不明感とは、まさに現代社会とりわけ都会ならではサービス業、すなわち、何でも屋からの発展業態であって、やはり都会の複雑な社会構造と人間関係が…