私は団地で育った。高度経済成長真っ只中の団塊ジュニア世代ということになるのだろう。高度経済成長期の何が良かったのか、というと世の中に不安が感じられなかったことではないか。もしかしたら私が子供だったので、単に不安を感じられな買っただけかもしれないし、両親が私に不安を感じさせないように配慮してくれたおかげかもしれない。 団地の風景。 九十年代になってから、つまりいわゆるバブルが崩壊してからというもの、ずっと不況気分が続いてきた。不況はデフレのおかげでごまかされた。牛丼を二百八十円で食べられたりしたので、景気が悪くてもそれなりに楽しく生きていくことができた。失われた三十年は、デフレ脱却によって改善す…