犬を飼うのは、ユクが初めてだ。しかし、仲の良かった犬は高校生の頃にいたことがある。名前は「ポチ」という。ポチは、私の小学生のときからの親友が飼っていた犬で、一緒によく散歩に出かけた。ポチを連れて昼夜問わず、神戸のニュータウンを男二人と犬一匹で徘徊した。犬を連れているのは、高校生の私たちには好都合で、夜にほつき歩いていても、警察に職務質問などされなくなるというメリットがあった。そんなずるい理由をポチは知る由もなく、私が来ると全身で歓迎してくれた。遠くまで散歩に行けるからだ。 その友だちとは高校の三年間、本当によく遊んだ。暮れゆく空に、まっすぐ伸びる道。そんな光景を見ながら「人生終着への路」などと…