昔、たぶん1980年代、テレビの企画で開高健が文壇の先輩で釣り仲間でもある井伏鱒二を自宅に訪問する番組が流されていた。そこで開高健意を決したように作家としては致命的とも思える悩みを打ち明け井伏に救いを求めだした。その会話は以下のような内容であったと記憶する: 開高:私、この頃書けないんです。夜も寝れないぐらい。本当に悩深いんです。どうしたらいいでしょう。ご教示下さい。 井伏(軽く):いや、毎日書けばいいんじゃないですか? 開高:いえ、書けないんで。。。 井伏:いや、書けば良いんです。毎日机に向かって。 この井伏鱒二のアドバイスは深くて鋭いと思う。普創作活動全般に通じるの普遍的な本質をついている…