戸川昌子が1963年に発表した小説。
新装版 猟人日記 (講談社文庫)
Young Adam
1940年代末のスコットランドの港町グラスゴー。雑役人として住み込みで働く青年ジョーは、作家志望だった。ある朝、ジョーは見知らぬ若い女の死体を引き上げた。死体は警察に引き渡されたが、それからジョーは雇い主の妻エラと肉体関係を持つようになる。次々とエラ以外の女性とも関係を結ぶジョーだったが、彼には知られざる過去があったのだ。 イギリスのビートニク作家アレグザンダー・トロッキの小説の映画化。
ヤング・アダム (Modern&Classic)
*1:NC-17 for some explicit sexual content.
*2:Rated R for strong sexual content, some disturbing behavior and language. (edited version)
イワン・ツルゲーネフの短編小説。1852年。
生きてゆくことの意味 問いかけるそのたびに 海の上はほんによかった。じいちゃんが艫櫓ば漕いで、うちが脇櫓ば漕いで。 いまごろはいつもイカ籠やタコ壺やら揚げに行きよった。ボラもなあ、あやつたちもあの魚どもも、タコどもももぞか(可愛い)とばい。四月から十月にかけて、シシ島の沖は凪でなあ――。 ・・・ 舟の上はほんによかった。 イカ奴は素っ気のうて、揚げるとすぐにぷうぷう墨をふきかけよるばってん、あのタコは、タコ奴はほんにもぞかとばい。(p.86-87) <<感想>> 第一印象は最悪だった。 私がこの作品を知ったのは、K教授の国文学の講義でのことだった。K教授*1の授業はキャンパス屈指の人気授業だっ…
基本情報 あらすじ 見どころ4つ ①裕次郎がカッコいい。 ②説明的でないからおしゃれに見える?! ③古くならない「テンポの速さ」 ④ラストシーン(ちょっとネタバレ) 人生変わった度 基本情報 公開年:1956年 監督:中平康(他作品に「月曜日のユカ」※下にリンク貼りました「猟人日記」など) キャスト:石原裕次郎(滝島夏久) 津川雅彦(滝島春次) 恵梨(北原三枝) あらすじ <以下日活「狂った果実」公式サイトより引用> 太陽族の滝島夏久はまだ純真な弟・春次の初恋の女性・恵梨を奪う。やがて心の中にあった兄弟への愛情の均衡も破れ、恵梨は夏久の強靭な肉体に強く惹かれていった。恵梨と夏久の全ての出来事を…
すこし前に戻ろう。恰好な物語の断片が語られていたのだ。そこでは、「私」=ロカンタンが周囲へと向ける視線の動きも確認できるはずである。 《私は左に向きを変える。あそこへ、並んだガス灯のはずれにあるあの穴のなかへと踏み出して行こう。〔略〕少しのあいだ退屈な道がある。右側の歩道沿いに灰色のガス状のかたまりがあり、点々と明かりがともされて、貝殻の鳴るような音を発している。これが〈旧駅〉だ。この駅の存在が、ノワール大通りの最初の百メートルほど──ラ・ルドゥート大通りからパラディ街まで──の部分を受胎させて、十本ほどの街灯と、軒を連ねた四つのカフェを産ませたのである。「鉄道員の溜まり場」と他の三つのカフェ…
ほっぺがおちても知らないぜ ・・・ロシア文学に現れたサモワールは、・・・平和な家庭生活のシンボルであり、家族をつどわせる必需品である。(p.240) <<感想>> 読むとロシア文学が読みたくなる素晴らしい本。 表題のとおり、テーマは「ロシア文学×食文化」。ロシア文学を紹介しつつロシアの食文化を紹介しようという、二兎を追う食いしん坊な本である。 原則として、一作家一作品からヒトサラを取り上げる構成となっていて、全20節=20作品=20品目の構成となっている。もちろん、各節の中で別の作品や別の料理に触れられることもある。この20品目(と、「はじめに」の1品目)が、ロシア料理の作法に従って前菜、スー…
私は泣かない和泉雅子Amazon 基本情報 私は泣かない ★★★ 1966 スコープサイズ(モノクロ) 91分 @アマプラ 企画:柳川武夫 脚本:吉田憲二、石森史郎 撮影:姫田真佐久 照明:岩木保夫 美術:川原資三 音楽:小杉太一郎 監督:吉田憲二 感想 ■女子少年院から出所した非行少女は保護観察処分となり弁護士の家のお手伝いさんとして住み込むことになるが、その家の長男は小児麻痺で半身不随だった。はじめは互いに激しく衝突する二人だったが。。。■というお話で、吉田憲二の監督デビュー作。和泉雅子の非行少女路線の一作で、社会派勤労映画の系譜でもある生真面目な映画。第1回青少年映画賞文部大臣グランプリ…
藤井省三は『魯迅「故郷」の読書史』において、「近代中国の文学空間」というサブタイトルを付しているように、「故郷」をコアとする国家イデオロギーのパラダイムの変容、つまり「近代中国文学の生産・流通・消費・再生産の物語」を描き出そうと試みている。 そのためにベネディクト・アンダーソンの『想像の共同体』のいう出版資本主義がもたらすナショナリズム、及びイ・ヨンスクが『「国語」という思想』(岩波書店)で提起する言語共同体が重なり合って援用されている。それらは意外でもないけれど、魯迅が「故郷」を書くにあたって、チリコフの「田舎町」を範としているとの指摘にはいささか驚いてしまった。 それは大正六年に新潮社から…
かじかむ指の求めるものが 今回ロベルト・ヴィクトロヴィチが描いたのは何から何まで白い静物画数枚で、そこには「白」の本質について、フォルムについて、絵画の基礎を左右する質感について、それまで彼が苦労して考えてきたことがいろいろ映しだされていた。・・・ふだん白いと見なされているもののなかで、理想や神秘を追求する彼がこれぞ茨の道だと思うものも、すべて表現媒体になった。(p.98) <<感想>> え!『緑の天幕』【参考リンク】じゃないの!?すいません、絶賛積読中です。 別に今回はウリツカヤを取り上げたいと思ったわけではない。『ヌマヌマ』【過去記事】が素晴らしかったので、沼野先生の訳業を取り上げたいと思…
タクシー、白タク、辻馬車、人力車、車夫、、、籠は時代劇に多いから除く おもいつくまま、、、 タクシードライバー、ナイトオンザプラネット、ロイドのスピーディ、毒薬と老嬢、レイニーデイインニューヨーク、タクシ-ブルース、タクシー運転手/約束は海を越えて、TAXi(ベッソン)、ティファニーで朝食を、フィフスエレメント、コラテラル、風が吹けば、ベンジャミンバトン数奇な人生、ピーターラビット、ゴーストライター、ラストナイトインSOHO、幻の女、エマの瞳、月蒼くして、7月4日に生まれて、マダムと泥棒、イルマヴェップ、グッバイレーニン、英雄の証明、東京画、 「辻馬車」 ガス燈、最後の人、忘れじの面影、ミッド…
猟人日記仲谷昇Amazon 基本情報 猟人日記 ★★★☆ 1964 スコープサイズ(モノクロ) 123分 @DVD 企画:芦田正蔵 原作:戸川昌子 脚本:浅野辰雄 撮影:山崎善弘 照明:森年男 美術:大鶴泰弘 音楽:黛敏郎 監督:中平康 感想 ■原作は前年に大ヒットした通俗推理小説(でも直木賞候補!)で、生理的にキツイ、残酷な趣向の推理小説や奇想小説で有名な戸川昌子の作なので、期待どおりにエグい。有名なので明かしても支障ないと思うが、○のない赤ちゃん(特殊造形!)がどアップで堂々と登場する。予告編はもっとえげつなくて、奇形児の医学写真が次々とコラージュされるんだけど、完全にエログロ見世物路線。…
エピソードタイトルに触れていくネタも残すところ4話で、うち半分は既に触れたことがあったため、流石に今回で確実におしまいになる形ですね。 しかし、何とも素晴らしいタイミングで、また触れるネタが出てきてくれました。 そちらはまた後ほど話に出すとして、まずはタイトルネタを終えてしまいましょう。 ---------- 『青い花』エピソードタイトルの由来まとめ(勝手に予想;括弧内は英語版青い花の英訳タイトル) #49 片恋(Unrequited Love) こちら、以前「はつ恋」で登場していたロシアの文豪・ツルゲーネフさんの作品に、またしても同じ邦題の作品があるようです。 ただし、今回も作品単独のWik…
『猟人日記』戸川昌子(講談社文庫コレクション大衆文学館) 乱歩賞受賞作『大いなる幻影』と第二作『猟人日記』の合本より、未読の『猟人日記』を読みました。 キーパンチャーB・G尾花けい子は、バーで知り合った低音が魅力の男と一夜限りの関係を持ったあと、妊娠を知って身を投げます。けい子の姉・常子は、死んだ妹が身籠っていたことを警察に知らされ大きなショックを受けました。 やがて常子と同じく鼻の横にホクロのある女がバーに現れ、低い声の男について聞き込みを始めます。 一方、低音の男・本田一郎はナンパした女との情事を記録につけて『猟人日記』と名づけていました。妻が奇形児を産んでからというもの、妻相手にはどうし…
1960年代中頃の加賀まりこは、キュートでコケティッシュで最高です!加賀まりこの魅力全開の中平康監督の『月曜日のユカ』がちょっと変な映画で面白いので目録に。ついでに同年公開のこちらも変な『砂の上の植物群』も。 標題:中平康の砂の上のユカ 分類:映画>邦画 ■題名:月曜日のユカ砂の上の植物群 監督:中平 康 音楽:黛 敏郎 出演:(※下記『月曜日のユカ』)加賀 まりこ中尾 彬加藤 武北林 谷栄梅野 泰靖波多野 憲ウィリアム・バッソン他 (※下記『砂の上の植物群』)仲谷 昇島崎 雪子稲野 和子西尾 三枝子小池 朝雄高橋 昌也福田 公子信 欣三他 発表年:1964年 製作国:日本 評価:B ★★★★…
夜中、窓を開けて外の空気を吸う。雨、しっとりとした夜気。金魚鉢からあぶくのはじける音がする。 *** 作品の選定基準のひとつは、作者が文学の決定的な力、ほとんど魔術的な力を信じていることだと述べ、十九歳のナボコフを、ロシア革命のさなか、弾丸の音にも気を散らされることなく書きつづけたナボコフを思い出すように言った。銃声が響き、窓から流血の戦闘が見えても、彼は独り詩を書きつづけた。 ナフィーシー『テヘランでロリータを読む』白水社より 古典作品の魅力の一つに、古今東西の「ファン」による考察や二次創作の豊かな蓄積がある。手を伸せば、自分一人では想像も及ばなかった視点の作品解釈や感想などが楽しめる。一粒…
◎新作ロードショー FLEE フリー 《6月10日(金)から 東京 新宿バルト9ほかで公開》 アフガニスタンからデンマークに亡命した難民青年が抱える秘密を、アニメーションで 描く。(2021年 デンマークほか 監督/ヨナス・ポヘール・ラスムセン)
きょう5月15日は、美輪明宏(みわ あきひろ)さんの誕生日です。1935年生まれの87歳になりました。おめでとうございます。長崎県長崎市出身。兄と姉と弟のいる五人兄弟の次男。本名は丸山明宏。長崎海星中学校卒業後、上京。国立音楽大学附属高校中退。1952年から銀座のシャンソン喫茶「銀巴里」で歌い始める。1971年までは本名の丸山明宏・名義で活動。オフィスミワ所属。 美輪明宏さんの映画出演作は、 『永すぎた春』(1957:田中重雄)、 『暖流』(1957:増村保造)、 『女であること』(1958:川島雄三)、 『東京野郎と女ども』(1958:吉村廉)、 『蟻の街のマリア』(1958:五所平之助)、…