僧侶・作家。東日本大震災復興構想会議のメンバー。 1956年福島県生まれ。慶應義塾大学文学部中国文学科卒。 『中陰の花』で第125回芥川賞を受賞。 主な著書には『アブラクサスの祭』, 『化蝶散華』, 『御開帳綺譚』, 『アミターバ』, 『まわりみち極楽論』などがある。 デビュー作は『水の舳先』。 2009年度より花園大学客員教授。
思いつめ出したら、きりがない。 今さら書き屋としての重く長い仕事が回ってくることはない。体力的に無理だ。衰えても知名度や敬老精神により仕事が振られるかたもいらっしゃるが、生涯裏街道を歩いた私には、ありえない。 文学雑誌の新人賞選考会。読み屋と喋り屋の仕事だ。これはまだ、たまにある。選考委員のなかでは、とびぬけて長老となってしまった。若者の意欲的作品に触れるのは愉しみだ。 老人に新文学の読解が可能かと、ご心配くださるかたもある。大丈夫、息子のようにお若い論客が、選考委員に名を連ねていらっしゃる。齢の甲と申そうか、旧文学の修業をした眼にはこの新人作品がかように読めたとの、参考意見を申しあげればよい…
玄侑宗久『現代語訳 般若心経』(ちくま新書、2006) 久びさに鉄道に乗る。本日の携帯本は、玄侑宗久さんと決めて、バッグに入れた。 まずもって軍資金。銀行 ATM へ。年末年始の諸雑費用意にはまだ早いか。本日の経費のみ引出す。 私鉄はともかく山手線はじつに久しぶり。玄侑宗久さんの続きを読む。どうやら「空」のイメージを想いうかべられるかいなかが、第一歩なのだな。新井満さんが強調しておられた点と、まったく同じだ。 西日暮里まではあっという間だ。窓外を少しは観ておくんだったかと、かすかに後悔する。 母校は大工事中。正門前に立つ。かつてはこゝを何百回となく出入りした。六十年前から五十五年前にかけてだ。…
具体的な予定はほとんど決めないまま、今日も今日とて写真を撮りに出かけるのは、自分がやられてしまわないように、自らの意思を具体的な行動をもって形に現さなければいけないから。 なんか、やられてしまいそうなんだよね。 そんな状態。 怒りとは違うけど、一発逆転みたいな、そんなことを望んでいる。 それは理想だけどね。 悶々としている。 ため息も多い。 昨日から脳みその中がガチャガチャとうるさくて、今朝は出かける時間まで、玄侑宗久(げんゆうそうきゅう)著『現代語訳 般若心経』(ちくま新書)のページをめくり、YouTube を再生しながら、般若心経をボソボソと読んでいた。 本は一度だけ通読してはいるが、おお…
なりゆきを生きる --「うゐの奥山」つづら折れ (単行本) 作者:宗久, 玄侑 発売日: 2020/05/08 メディア: 単行本(ソフトカバー) 作家で僧侶である著者が震災後の福島への想い、お寺の改修、人の生死、その時々の気持ちを書き綴っている。 凝り固まった目標よりその場その場の流れを見極めて成り行きに任せて生きること。 夏の前に 気温が上がってそろそろ30度の声が聞こえる。湿度も上がってジメジメ。 髪のボリュームが2割増しくらいになる。美容院行きたい、ショートにしたい。 アイスコーヒーを作り始めた。夏の間は冷蔵庫に常備。 最近3回続けてダンナと出かけた時にマックでシェイク。ミルキーのまま…
道尾秀介さん推薦の作家さん 小説家であり僧侶でもある玄侑宗久(げんゆうそうきゅう)さんの書かれた小説です。私の大好きな作家の道尾秀介さんが、自身のエッセイの中で玄侑さんのことをこう語っています。 小説家なんていうものは、いくら著者が好きでも、本人には会わないほうがいい。「なんだ、こんな人が書いていたのか」と、たいていガッカリするからだ。 しかし、たまに例外がいる。僕にとって玄侑宗久さんがその一人だった。 引用元:『プロムナード』道尾秀介(文春文庫) 私は玄侑さんのことを、上記の道尾さんのエッセイを読み知りました。 好きな作家さんが薦める本なら読んでみたい、そう思いこの本を手に取りました。 テル…
ある事象が起こった時、人はなぜそれが起こったのかを考えます。因果関係を見つけるというのでしょうか。「Aという事柄が起こったのは、その前にBという原因があったからだ」といった具合に。結果に対する原因をひとつひとつ見つけ出して説明することは、とても論理的なように思います。そして、無理なく原因と結果を説明できれば、誰もがそれに納得します。いや、中にはどんなことにでもケチをつける人がいますから、誰もが絶対に納得することはないのでしょうが。原因と結果を論理的に説明されると納得しますし、疑問に思っていたことがすっきりとします。しかし、どんなに原因と結果を論理的に説明できても、それは妄想でしかないのかもしれ…
先に読んだ鈴木秀子氏の著書の中で、祈りについての記述で触れられていた本。坂本氏の美しい、春夏秋冬の蓮の写真と、玄侑氏の小説とのコラボです。 祈りはどこまで波及するのか。人はただ結果をゆだねて、祈り、生を全うするよう努めるのみ。蓮は毎年芽吹いては花を咲かせ、人々の記憶や感情と交わりつつ、種を沈めて次代につなげる。植物も、数値で測れないいのちの営みも同じだ。 玄侑氏の小説、初めてでしたがすばらしかった。愛と祈りが心に沁み沁みです。物言わぬ我が家の猫にも、早朝の空にも神社の銀杏にも、感謝して祈りたくなりました。 祝福 作者:玄侑 宗久 筑摩書房 Amazon
一条真也です。最新の一条本である『古事記と冠婚葬祭』(現代書林)が発売中ですが、おかげさまで好評のようです。特に、ステージ4のがん患者である宗教哲学者の鎌田東二先生の死生観が多くの読者の心を掴んでいます。まさに「死を乗り越える」読書体験といえますが、101冊目の「一条真也による一条本解説として、『死を乗り越える読書ガイド』(現代書林)を紹介します。 『死を乗り越える読書ガイド』(現代書林) 『死を乗り越える読書ガイド』は、2020年8月11日に刊行されました。といっても、オリジナルの書き下ろしではありません。2013年刊行の『死が怖くなくなる読書』を全面的に改訂した本で、最後はグリーフケアの書…
12/02 スティーヴン・コンコリー「救出 上」扶桑社ミステリー/ISBN: 9784594092542*1 12/02 スティーヴン・コンコリー「救出 下」扶桑社ミステリー/ISBN: 9784594092542 12/05 綿矢りさ「パッキパキ北京」集英社/ISBN: 9784087718577*2 12/05 柴崎友香「続きと始まり」集英社/ISBN: 9784087718560*3 12/05 オリバー・ミルマン「昆虫絶滅: 地球を支える生物システムの消失」早川書房/ISBN: 9784152102898*4 12/05 イーライ・クレイナー「傷を抱えて闇を走れ」ハヤカワ・ミステリ/I…
<この記事で紹介している桜スポット> 町全体が桜の名所! 春色に染まる福島県三春町で桜ざんまい 三春滝桜(福島県三春町)悠久の時を超えて咲き誇る、日本を代表する千年桜 福聚寺(ふくじゅうじ)桜(福島県三春町)竹林を背景に艶やかな花を咲かせるベニシダレザクラ お城坂枝垂れ桜(浪岡邸の桜:福島県三春町)かつての三春藩士の家に咲き誇る3本のしだれ桜 田村大元(たむらたいげん)神社(福島県三春町)ソメイヨシノやしだれ桜に彩られた表門が美しい 光岩寺桜(福島県三春町)高台の墓地に立ち、三春の町を見下ろす3本の桜 八十内(やそうち)かもん桜(福島県三春町)住宅街の公園に咲き誇る樹齢350年のシンボルツリー…
11月に入り芸術の秋を満喫! 今日の庭の花 チョコレートコスモス 赤とんぼ あわゆき キク科 コスモス属 地域文化を愛する会主催のマリンバとピアノ演奏会がありました。 主催者側なので楽しむ、、、というよりは気苦労の方が多い イベントですが、多くの方々にお楽しみ頂けホッとしました。 チラシ作成は知人の田口治彦氏 素敵な演奏の様子を沢山撮影してくださったのは、 知人の土井正泰氏。有難うございました。 プレゼント用のお花は一足早いクリスマスカラーでまとめました。 ご参加くださった皆様、有難うございました。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 地元の白髭神社で行われた琵琶の会…
私が「スポーツ(運動)と脳科学」について興味を持ったきっかけの一つが、東大名誉教授で解剖医の養老孟司先生の本を読んだり、各地で開催された講演動画を見たりしたことです。養老先生と言えば、大ベストセラー「バカの壁」(2003年)が超有名ですが、私自身は2000年以前に書かれた本、特に「唯脳論」と「考えるヒト」という作品が気に入ってます。 養老孟司著「考えるヒト」(2015/10/10、筑摩書房)頁数:224頁、価格:660円+税、Amazon評価:4.3、楽天評価:4.00、個人評価:4.8 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・養老孟司先生は、著書「考えるヒト」の中で、入出力装置と…
薔薇のある庭園、そして腕利きのシェフの美味しいお食事。 シャンデリアの下での華やかなパーティー、そしてコンサート、、。 坂戸グランドホテルでの充実した時間でした。 それまでにも何度かお食事に伺っていた坂戸グランドホテル、 2011年に玄侑先生の講演会を開催させて頂いたことがきっかけで、 より深いご縁が生まれました。 先日撮影した庭園の素敵な薔薇です。 先日お世話になったお仲間と一緒にランチ会、、。 ハロウイン仕立てのデザートを美味しく、 ホスピタリティーの行き届いた、素敵なおもてなしでした。 手入れの行き届いた春の薔薇園。 青空に映える教会。 カルチャースクールでバイオリンの講座を受講されてい…
晴。のち曇。 玄侑宗久『華厳という見方』(2023)読了。ほがらかで楽しいし、もちろんとても勉強になった。本当にたくさんの人に読んでもらいたいけれど、わたしのように信用のない人間がいっても、なかなか読んでもらえないだろうな。残念である。もっと精進しないとな。華厳という見方作者:玄侑宗久ケイオス出版Amazon鈴木大拙の『華厳の研究』を読み返さないとな。中沢さんの『レンマ学』も。 玄侑さんは現代の絶望的な状況をよく知っておられるのだけれど、それでもほがらかさを失わない。稀なことである。わたしごときにはなかなか真似ができない。 玄侑さんも福島県の三春という、地方に根を張って生きておられる。ありがた…
玄侑先生のTV出演のお知らせ。 10月20日(金)「アナザーストーリー 金閣炎上」 以前に放映されたリメイク版のようです。 番組の後半にご出演、とても興味深い番組でした。 詳細は下記を参照。 NHK アナザーストーリーズ 運命の分岐点 金閣炎上 若き僧はなぜ火をつけたのか | 玄侑宗久公式サイト www.nhk.jp 玄侑宗久公式サイトトップページ | 玄侑宗久公式サイト 明日荷のギャラリー内の玄侑先生書籍コーナー 先日書籍コーナーを片付けていましたら、1冊の本の間から一枚の紙が ハラリと舞い落ちました。 しっくりと、身に心に響きました。 過去の企画展 玄侑先生、矢萩典行氏、伊藤彰規氏と私で、…
神さま仏さまへ 神さま仏さまのお考えを様々な伝え方で、正しいか否かは別として、様々な人が述べられています。 「越えられない試練は与えない」とか「楽しい苦しいは自分の心持ち次第」とか色々おっしゃります。本当にこれらは神さま仏さまのおっしゃっていることを正しく伝えていますでしょうか。 言葉として、観念として、自分の中に一旦は納まるのですが、楽しいを求め、苦しいを避けたい私について、結果としてまだそれらは長らく実現していません。 それは「越えられるはずの試練の途中」或いは「自分の心持ち次第」に従って、正しい「心持ち」に至っていないということなのでしょうか。きっとそうなのでしょう。 しかしここで想うの…
一条真也です。13日の金曜日、この日から公開の日本映画「鯨の骨」をシネプレックス小倉で観ました。これは久々の大ハズレで、まったく面白くありませんでした。ただただ不快で、気持ち悪かったです。こういうカルト映画っぽいというか、オタク性が高い作品は、渋谷か新宿あたりのミニシアターとかでの短期間上映がお似合いだと思います。シネコンでの全国公開は合いません。実際、渋谷シネクイント、シネマート新宿で上映されていますね。 ヤフーの「解説」には、「『ドライブ・マイ・カー』などの脚本を手掛けてきた大江崇允が監督を務めたミステリー。不眠症の主人公が、リアルとバーチャルの境界があいまいな世界で、ARアプリ界のカリス…
<番組紹介> 心模様で姿を変える 京都、相国寺・枯山水の庭園。 人の形にならった瑞龍寺の 七堂伽藍(しちどうがらん)を雑巾がけする 住職の日課。 ▽迫力のダルマ画で知られる禅僧、 白隠(はくいん)の描いた「白隠マンガ」。 ○がまんじゅう!?多くの禅僧が描いた 「丸」の意味を作家で禅僧の玄侑宗久さんが 読み解く。 ▽肖像画の真骨頂「頂相(ちんそう)」。 死の直前に書かれた「遺偈(ゆいげ)」に、 書家、紫舟さんが対面。 <初回放送日:令和5(2023)年9月13日> <番組紹介> 美の壺1.空間に身を置く 京都「相国寺」(宗務総長・佐分 宗順さん) 富山県高岡市「瑞龍寺」住職・四津谷道宏さん 美の…
先日の美の壺「心そのもの禅」は見ごたえありましたね。 ご覧いただいたからも玄侑先生が身近に感じられて良かった、、というメッセージを多数頂きました。 下記の写真は2014年5月に明日荷で企画しました、 「犬も歩けば・・・展」です。 懐かしい思い出です。 明日荷にお出掛け頂い時, ギャラリー内で記念撮影しました。 玄侑先生が文、絵を現代アートの伊藤彰規氏、編集を矢萩典行氏が担当され、 この企画展のために発行された『東天紅』です。東日本大震災をテーマにした短編です。 サイン風景です。 東天紅はにわとりのことで、コケコッコーとユニークなサインを頂きました。この時即興で書かれ、とても思い出深いです。 矢…
■走馬灯55 ぜんちの人生は幸せでした。 ■「あの世 この世」(瀬戸内寂聴・玄侑宗久著、新潮文庫、2020年)を読む。(その2) 「ただ、読めない、書けないっていうことが突然つらくなってね~」 「でも坐禅しないでも瞑想というのはあり得ると思います。」 「やっぱり偉大な人というのは孤独ですよ。」 「犀の角のようにただ独り歩め」 「死刑囚が処刑場に向かう途中、住職が出ていって袈裟を駕籠にかぶせればお寺に連れて来ることができたそうです。」 「人生を楽しく生きるためには、まず自分を愛することでしょう。」 「受け容れた寿命というのが“享年”ですよね。」 「ひとたび人間としての形を受けたなら、亡ばさないで…
■走馬灯54 ぜんちの人生は幸せでした。 ■「あの世 この世」(瀬戸内寂聴・玄侑宗久著、新潮文庫、2020年)を読む。(その1) 「陽の基本的性格は“動きまわること”。」 「それからお金持ちほどケチで、貧しい人ほど布施の心がある~」 「人が死んだらエネルギーになる」 「この宇宙の中のエネルギーの総量は一定だ」 「“そろそろお迎えが来たやろう”って訊かれても、“そろそろですね”って言えないんです。」 「~長生きするということは真実寂しいものですよ。」 「深い瞑想の中で体験できる以上のことは死によっても体験しない。」 「それで私は、歩くということをとても信じるようになったんです。」 「ただ、密教と…