玉水物語 2巻 | 京都大学貴重資料デジタルアーカイブ※この記事では、京都大学貴重資料デジタルアーカイブの画像を、適宜改変して使用しています。 【翻刻】ざりつるこそ不思議なれ」と思ひ巡らして、「風邪の心地」とて我が住む局《つぼね》に閉じ籠《こも》り、始めより思い初め奉りし我が有様、今迄の事を書き集め、小さき箱に入れて姫君に持て参り、「何とやらん、此の頃ハ世の中味気《あじき》なく徒《あだ》なる物と思ひ知られて、物憂くは侍れバ、もし夜の間にも消へ失せ侍る事もやと覚へて、此の箱を奉る。 我、如何様《いかよう》にも成りなん後、此の箱をご覧ぜよ」 と申してさめ/゛\と泣きければ、姫君ハ怪しく、「如何に思…