打ち払ふ 《そで》も露けき常夏に 嵐《あらし》吹き添ふ秋も来にけり 〜床に積もる塵を払う袖も涙に濡れている常夏(私)の身の上に 荒く吹く風の吹きつける秋までもが やって来ました。 【第2帖 箒木 ははきぎ 私がひそかに情人にした女というのは、 見捨てずに置かれる程度のものでね、 長い関係になろうとも思わずにかかった人だったのですが、 馴れていくとよい所ができて心が惹かれていった。 たまにしか行かないのだけれど、 とにかく女も私を信頼するようになった。 愛しておれば恨めしさの起こるわけのこちらの態度だがと、 自分のことだけれど気のとがめる時があっても、 その女は何も言わない。 久しく間を置いて逢…