🪷【源氏物語606 第19帖 薄雲37】秋の除目《じもく》に源氏を太政大臣に任じようとあそばして、内諾を得るためにお話をあそばした時に、帝は源氏を天子にしたいかねての思召しをおもらしになった。 〜秋の除目《じもく》に源氏を太政大臣に任じようとあそばして、 内諾を得るためにお話をあそばした時に、 帝は源氏を天子にしたいかねての思召しを はじめてお洩《も》らしになった。 源氏はまぶしくも、恐ろしくも思って、 あるまじいことに思うと奏上した。 「故院はおおぜいのお子様の中で特に私をお愛しになりながら、 御位《みくらい》をお譲りになることは お考えにもならなかったのでございます。 その御意志にそむいて…