「志が立たねば、天下に成るべきのことなし」 王陽明 儒教における聖人とは、物事の本質を深く理解し、高い徳を備えた、高潔な人物であり、人々に道徳的な模範を示す存在を指します。明代の儒学者、王陽明は、あるとき弟子から「聖人の中にも、優劣の違いがあるのではないでしょうか」と問われました。これに対して王陽明は、「聖人とは、天理に従って生きる人のことであり、知識や技能は関係ありません」と答えました。 聖人の中にも才能の違いはあるかもしれませんが、天理に従って生きるという点ではみな等しいのです。例えば、大きさの異なる二つの黄金を考えてみましょう。どちらも純度が百パーセントであれば、その大きさや重さが違って…