「済みませんけど、ちょっとお願いできませんか」 ここはジャカルタの渋谷。怪我で片腕が不自由らしい彼が、ふいに声をかけてくる。牛乳パックにストローを刺せずに、困っているらしい。心やさしい彼女は、事情を察してパックを受取り、ストローを刺して彼に返そうとする。と、彼はパックを受取らずにストローだけをつまみ、中身を吸い始めた。彼女が差出した牛乳を飲ませてもらっている恰好だ。 この状況、というかこの姿勢は、インドネシア女性ことごとくにとって特別な連想を誘うポーズらしい。思いもかけず突然とらされてしまったその姿勢に、本人は恥じらい、同行者の友人たちは笑いを堪えきれない。あるいは視ては気の毒な瞬間を視てしま…