施設のあちこちに燕が毎年巣を作り、卵を産んで子育てし、巣立って行く。 玄関や駐車場等、巣を作って欲しくない所にはあらかじめ対策をしている。 ユニットを隔てるテラスに巣作りをする時から、入居者達はずっと見守ってきた。 「巣が出来たね」 「子供が顔を出してる」 「今日は〇羽に増えてる」 「親は忙しいね」 他階からも散歩がてら見に行き、楽しみにしていた。 ある日、バサッバサッと聞きなれない羽音がし、見るとカラスが巣にくちばしを入れたかと思うとヒナをくわえて上を向き、丸のみした。 一瞬の出来事だった。 居合わせた人は顔を見合わせ、暫く口がきけなかった。 数日して、巣が壊れているのが発見された。 ヒナ達…