「バイオハザード(生物災害)を扱った作品」の第三弾は、くろきすがや『感染領域』(宝島社文庫、2018年)です。人為的に作られた謎のウイルスによって引き起こされたトマトの異変から始まり、全植物の絶滅につながりかねない事件の顛末を描いたバイオサスペンス。くろきすがやは、那藤功一と菅谷敦夫の二人による作家ユニット。第16回『このミステリーがすごい!』大賞(2017年8月で「優秀賞」を受賞した作品です。 [おもしろさ] 生物災害:「引き起こす力」と「阻止する力」の攻防 本書の一番目の特色は、遺伝子操作によってピナート社が作り出したウイルス→それに感染したトマトの異変→感染したトマトによる花粉の飛散→植…