女の一生:田村泰次郎 1956年(昭31)大日本雄弁会講談社刊。講談社ロマンブックス、上下2巻。 1953年(昭28)9月~1956年(昭31)5月 雑誌「婦人生活」連載。 『女の一生』というタイトルには、「この人生って何だったんでしょうね?」と自問するヒロインの当惑した姿が見えるような気がする。モーパッサンの名作をはじめ、日本の小説家にも多くの同タイトルの作品が書かれており、それぞれの人生を生き抜いた女性の感慨が表れている。田村版のこの作品も足掛け4年の雑誌連載で、昭和の戦前から、満州での戦中を経て、戦後の東京に至るまで、ヒロインが人生の盛期を5人の男性との関わり合いに翻弄された生きざまを描…