哲学者。1885年2月3日、東京生まれ。 東京大学数学科から哲学科に転じ、1908年卒業。 東北大学講師、京都大学助教授、同教授を歴任。 自然科学の哲学的基礎を築き、西田哲学の後継者として田辺哲学を樹立した。 西田幾多郎の「場所」に対して田辺は「主体」の哲学を唱えたところに特徴がある。 1962年4月29日没。
[主要著書]
大学生の頃、どうゆうわけか哲学に興味をもって、京都学派といわれる人々、特に田辺元さんを中心に読んだことがあります。その後も時々、思い出したように哲学の本を読むのですが、なかなか自分にしっくりこないというか、理解できない、腑に落ちない状況です。今は、哲学というより、中村天風さんのいわゆる「天風哲学」を最高と思っているのですが、やはり、一度は哲学を納得いく形で学んでみたいと思っていました。 縁あって、岡山出身の哲学者、大西祝(おおにし・はじめ)(1864年~1900年)さんの本に出会って、岩波文庫の「大西祝選集Ⅰ 哲学篇」を購入、代表作の「良心起源論」をゆっくり、理解しながら読んでいきます。 それ…
晴れの木曜日。寝ようと思ったけど花の水換えをしていないことに気がつく。作業中に体力の限界がきたみたいで上手くものが掴めなくなってくる。ポロポロと落とすようになって、とうとう砂糖壺をひっくり返す。仕方ないので深夜に掃除。イベントが終わってから3日以上経っているのにまだまだ疲労が残っていて良くない。 高校の1年後輩で、文化祭ではギターを一本抱えて一人ビートルズと忌野清志郎を歌って体育館を熱狂の渦に巻き込んだ音楽を愛する人で、僕とはかつての大学の図書館バイト仲間で、そして仏文で修士までプルーストをやった後は愛媛に戻った愉快な友人から久しぶりにメールが届く。ベルクソンの『持続と同一性』の読み進め方に困…
展覧会『宮島達男「Numerical Beads Painting」』を鑑賞しての備忘録SCAI THE BATHHOUSEにて、2023年2月28日~4月15日。 作家を代表するシリーズであるLEDのデジタル・カウンターを用いた作品3点に加え、最新作の、キャンヴァスの格子に1から9までのアラビア数字が刻まれたアクリル製ビーズを配した「Numerical Beads Painting」シリーズ5点を展観する企画。 入口(受付)の空間は照明を落とし、黄緑色のLEDのデジタル・カウンターを用いた作品を3点展示している。いずれも「ガジェット」と呼ばれる1~9の数字(0は点灯しないことで表わされる)で…
時代は太平洋戦争が終わってすぐの頃。主人公・土岐数馬は三高理科を卒業後、文学部哲学科に進路変更し、西田幾多郎の門下で、とくに宗教哲学の分野で芽を出しつつある優秀な哲学の徒。三高教授と京大講師を掛け持ちしている。 そんな彼のところに東大寺塔頭観音院住職から、大乗仏教の最高経典である華厳経の60巻のドイツ語に翻訳し、世界各国、特に西欧の宗教・思想関係の機関・大学に贈呈しようという大きな仕事が持ち込まれる。華厳経は釈迦の悟りの内容をそのまま叙述したものとされており、そのドイツ語化が実現すれば思想の深遠・豊潤さにおいても、規模の壮大さにおいても空前のものとなることは間違いない。 しかし彼は躁鬱病という…
2014年8月31日第1刷発行 第1部・「危機の時代」に備えよ 第1章 「世界大戦」は終わっていない エリック・ホブズボーム『20世紀の歴史(上・下)』をテキストとして、1789年から1914年までを「長い19世紀」とし、1914年から1991年までを「短い20世紀」と呼ぶ。 第2章 はたして「近代」は存在したのか エルンスト・トレルチ『ルネサンスと宗教改革』をテキストとして、ルネサンスも宗教改革も近代の出発点ではなく、ウェストファリア条約により国家と教会の分離が決定的なものとなった点が近代の決定的な切れ目であるとする。ちなみに田辺元『哲学入門』で触れられている「ファウスト」の中に登場する「は…
一条真也です。91冊目の「一条真也による一条本紹介」は、『唯葬論』(サンガ文庫)。サブタイトルは「なぜ人間は死者を想うのか」です。『唯葬論』(三五館)の文庫版です。 『唯葬論』(サンガ文庫) 『唯葬論』の単行本は、終戦70年の年である2015年の7月に三五館から出版。多くの新聞や雑誌の書評に取り上げられ、またアマゾンの哲学書ランキングで1位になるなど、大きな反響がありました。しかし、2017年10月に版元が倒産するという想定外の事態が発生したのです。わたしの執筆活動の集大成と考えていた『唯葬論』ですが、同じく三五館から刊行された17冊の拙著とともに絶版になることが決まりました。当然ながら、わた…
「知の巨人」が暴く 世界の常識はウソばかり副島隆彦佐藤優ビジネス社2022年2月11日 第1刷発行 図書館の棚で目に入った。2022年の佐藤さんの本だけど、知らなかった本。借りてみた。 著者のひとり、副島隆彦さんは、1953年福岡市生まれ。早稲田大学法学部卒業。外資系銀行員、予備校講師、常葉学園大学教授などを経て、政治思想、法制度論、経済分析、社会時評などの分野で、評論家として活動。副島国家戦略研究所 (SNSI)を主催し、日本初の民間人国家戦略家として、巨大な真実を冷酷に暴く研究、執筆、講演活動を精力的に行っている。 う~~ん、多分、これまで 読んだことないかなぁ。 本書を読んだ後に、本屋さ…
『西田幾多郎の生命哲学』檜垣立哉 講談社選書メチエ 西田幾多郎の生命哲学 (講談社学術文庫) 作者:檜垣立哉 講談社 Amazon 西田幾多郎は『善の研究』がすごくよかった。絶対無に関する解説的な本も読んだのだけど、この本は西田幾多郎の語ることの変遷を田辺元、九鬼周造などの哲学者の視点、先人としてのドゥルーズ、ベルクソンの語ることとの比較などがあり、自分なりの読み方で読んでいたことがちょっとずれていたかも、思い込んで読んでいたかもという気づきになった。 純粋体験に関してはフィーリングで理解していたけど、言語化して解説されるとなるほどと思う反面、頭の中ですり抜けていってしまうのは自分が身で理解す…
黒田の哲学を我がものに 「死んで生きる」ということ 「日本国家の強権的=軍事的支配体制の構築の流れに対して、そして「社会主義」の崩壊と現代資本主義の危機に直面させられて、いわゆる哲学は無力をさらけだしている。」このような悲惨な現実を前にした同志黒田は、「1920~30年代に築かれた」「明治以降の日本哲学の最高峰をなす西田・田辺哲学が、今ふりかえられるべきではないか」とのべている。その西田・田辺哲学とはいったい如何なるものであったのか。 「革マル派」官僚が同志黒田の「どん底」やハンガリア革命において彼の主体性を貫徹したということへの無理解を公然と明らかにした(『コロナ危機の超克』所収 「革マル派…
司馬史観、なる言葉がある。 河合隼雄氏は、自分自身の生き方が一個の確固たる創作である、とおっしゃる。 歴史、というものは、自身が関わるものという感覚はあまりないのだが、大きく人生という視点で見ると自身の中の歴史というか、歴史の中の自分というか、当たり前であるが大きく関係するのである。 だがそのことに自覚的であることは難しい。少なくとも個人的には。 例えば私がユダヤ人でヒトラーのころに生きていればどうだろう。 あるいは逆にヒトラーのころのドイツ人であったなら。 最近NHKの「映像の世紀」を見ているが、やはり具体的な映像で見ると、文章では遠くの別世界の出来事のように思えた事象が、まさに今に地続きで…
濵田恂子『入門 近代日本思想史』(ちくま学芸文庫)を読む。「本書は国内外の状況が目まぐるしく変わっていく時代、19世紀後半から20世紀末にいたる歴史に足跡を残した哲学者・思想家たちの主要著作と思索のエッセンスを紹介。(……)日本の哲学思想史を概観するのに格好の入門書」(裏表紙の紹介文)。 素晴らしい仕事だ。ほぼ50人の哲学者・思想家を取り上げ、その主要著作を紹介しながら思想を簡明に要約し記載している。もっとも詳しく記載しているのは西田幾多郎、その難解な哲学を要領よくまとめている。次いで和辻哲郎、波多野精一、中村元らにページを割いている。現代では湯浅泰雄を詳しく紹介している。 他には、岡倉天心、…
哲学原理主義 作者:小泉義之 青土社 Amazon 政治や歴史といった概念と、倫理や刑法といったルールと、生老病死や福祉といった現実と、言葉や文学といったイメージと、予断も間断もなく向き合いつづけてきた哲学者の集大成。「もっと高いもの」を求め、あらゆる根底を疑い、ときに覆そうとしてきたその徹底した思考の軌跡、その全貌がいまここに。 はじめに第I部 倫理/善悪第1章 言葉の停止の問題 – アウグスティヌス『告白』第10巻をめぐって第2章 責任の有限性のために第3章 善なる行為と善なる存在 – ヘーゲル『精神現象学』「良心論」に即して第4章 動くことと動かされること – アリストテレス「アクラシア…
野上弥生子『迷路』岩波文庫上下巻野上弥生子(1885ー1985)の名前は雑誌や新聞に彼女が書いた随筆でしか知らず、小説を読んだことはありませんでした。その野上が70歳過ぎに初めて中国を訪れ、毛沢東の生家がある延安へ行った話を新聞で読み、興味を持ちました。私の父は戦争で北支(中国北部)へ行きましたが、戦場の話は一度も聞いたことが無かったので、何か手掛かりがあるのでは、と思ったものです。そんな折に銀座の教文館書店で、岩橋邦枝『評伝野上彌生子:迷路を抜けて森へ』(新潮社、2011)をみつけたので、思わず買ってしまいました。ページを繰ったらあまりに面白く、一気に読んだことをブログに書いておいたので、抜…
イントロダクション この記事では京都府京都市(きょうとふ きょうとし)に旅行や出張の際、ぜひとも散策してほしいおすすめ散歩コース(平安神宮~哲学の道~銀閣寺)をご紹介しています。執筆者の独断と偏見でおすすめする厳選コースになります!ご当地グルメや現地のお得情報も掲載していますのであわせてご覧してください。※各施設・店舗の営業日・営業時間の最新状況を事前確認することをおすすめします。 イントロダクション 散策コース(平安神宮~哲学の道~銀閣寺) 平安神宮 哲学の道 銀閣寺(慈照寺) ご当地グルメ 散策コース(平安神宮~哲学の道~銀閣寺) 平安神宮 平安遷都1100年祭(1895年・明治28)に市…
『喜劇 駅前弁当』(東京映画1961:久松静児)を、国立映画アーカイブ(NFAJ)・小ホールにて見る。10月4日より始まった「東宝の90年 モダンと革新の映画史(2)」の1本。310円。再々見。 『喜劇 駅前弁当』(88分・35mm・カラー) 『駅前旅館』(1958:豊田四郎)に始まる「駅前」シリーズの第3作。浜松駅前の弁当屋を舞台に、店を切り盛りする未亡人(淡島)とその弟(堺)、未亡人に想いを寄せる織物会社社長(森繁)とストリップ劇場の経営者(伴)が巻き起こす騒動を描く。おなじみの面々に加えて喜劇界の大物・花菱アチャコや当時人気絶頂の坂本九らが顔を揃え、シリーズ最高傑作との呼び声も高い。 以…