山本志乃『団体旅行の文化史:旅の大衆化とその系譜』(創元社、令和3年9月)は、「はじめに」によると、次の三つの切り口からアプローチを試みたものである。 ・「I お参りの旅」は、伊勢参宮や富士登拝など、古来連綿と続けられてきた神仏にいざなわれる旅の系譜 ・「Ⅱ 学びの旅」は、人間の成長段階に応じて課されてきた通過儀礼としての旅から、国民的行事とよべるほど定着した修学旅行へと至る系譜 ・「Ⅲ 親睦の旅」は、地方を基盤に展開した、身近な仲間との旅を、とくに仲介者である旅行業の視点から追う 「Ⅱ 学びの旅」には、内国勧業博覧会を見学する修学旅行や伊勢への修学旅行が出てくる。そう言えば、「明治40年8月…