『男たちへ フツウの男をフツウでない男にするための54章』/塩野七生/文春文庫/1993年刊 塩野七生さんの『男たちへ』のようなコラムを書きませんか、と言われたことがある。もう二十年近く前の話だ。駆け出しのフリーライターにとって原稿の依頼は何でもありがたい。しかし、実際にその本を手に取ってみて大いに困惑した。「フツウの男をフツウでない男にするための54章」というのがそのサブタイトルで、言ってみれば男性論。二十代前半の小娘の書く男性論を、読みたいですか? 私はあんまり、読みたいと思わないなあ。 なんて思ったことを正直に言っていたのでは仕事にならない。代替案にごにょごにょと言い訳を添えて、なんとか…