プリムローズと共に馬場に現れたのはイザール侯爵家のローレル。三人いるプリムローズの兄の中では一番年下。もっとも年齢が近い兄だ。兄妹ではあるが、金色の髪以外は似たところはない。瞳の色が違うだけでなく、美少女と言えるプリムローズと比べてしまうと、凡庸と言われてしまう風体だ。 その兄が、レイヴンに乗ると言ってきた。これまで一度も乗ったことのない、騎士でも避けるレイヴンに。リルとしては、理解出来ない行動だ。 「プリムローズ様。レイヴンは誰にでも乗れる馬ではないですけど?」 彼女も当然知っていること。そうであるのに彼女は自分の兄を止めようとしない。それどころか「頑張れ」と応援している。 「そう。だからロ…