私は、母の介護を続けている。母は、70歳を過ぎてから認知症を発症し、今では寝たきりの状態だ。私は、仕事の傍ら、母の食事や排泄、入浴などの介護を行っている。 介護は、肉体的にも精神的にも辛い。母は、時折、幻覚や妄想を起こすことがある。私に話しかけても、私が誰なのかわからなかったり、自分がまだ若かった頃の話をしたりする。 ある夜、私は、母の部屋で寝ていた。ふと目が覚めると、母の姿がベッドの端に座っていた。母は、私を見つめて、こう言った。 「助けて……」 私は、目を疑った。母は、もう話すこともできない。なのに、なぜ? 「どうしたの?」 私は、母に声をかけた。 「ここから出たい……」 母は、そう言って…